将棋の第65期王位就位式が12日、東京・千代田区で行われ、藤井聡太王位=竜王、名人、王座、棋王、王将、棋聖=に囲碁の井山裕太王座から花束が贈呈された。
藤井は「今期の王位戦は苦しい将棋が多かった。シリーズ全体を通して勝負の流れというものを感じるとともに、それに左右されない力をもっとつけていかないといけないと感じたシリーズでした。また、今期の防衛で永世王位の資格を得られたことをうれしく思っています」と振り返った。
藤井は7~8月に行われた王位戦七番勝負で挑戦者の渡辺明九段相手に4勝1敗で王位を防衛。5連覇を達成して永世称号「永世王位」の資格を最年少22歳1か月で獲得した。永世王位の資格獲得は大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人、羽生善治九段に続く4人目。
お祝いに駆けつけた井山は「藤井王位は記者の方々の質問に対してしっかり一つ一つ丁寧に物事を考えて、それから答えている姿が印象的です。私は深く物事を考えずにべらべらとしゃべってしまうことがあるので…見習っていきたい」と笑った。また、「藤井王位は将棋界のみならずよい刺激を与えていると思いますし、私もその一人です。今後もご自身の進むべき道を一歩一歩進んでいただいて、私も藤井王位からいろいろなものを吸収していけたら」と語った。
藤井はプロ入り直後の四段時代に井山と初対面したといい、「私が四段で井山王座は囲碁の第一人者で立場の違いがあったのですが、そのときから自然に優しく接していただいてすごくうれしかったと記憶しています」と当時を振り返り、「井山王座のように長きにわたって活躍していけるようこれからもしっかりと取り組んでいきたいと思います」と謝辞を述べた。
井山は囲碁界で七大タイトル制覇を2回成し遂げている。自身二度目の八冠制覇について藤井は「井山王座の記録は本当に偉大なもの。私自身は現時点でそれを目指すのはまだハードルが高いかなと思っていますので、それを目指すためにはさらに実力を高めていく必要があると思っています」と話した。