◆東京六大学野球秋季リーグ戦 優勝決定戦▽早大4―0明大(12日・神宮)
2010年秋以来、14年ぶりの優勝決定戦は早大が明大を4―0で下し、2季連続、リーグ最多を更新する48度目のVを決めた。9日の早慶1回戦で5失点した来秋ドラフト候補のエース右腕・伊藤樹(たつき、3年)が3安打完封。楽天のドラフト1位、明大・宗山塁遊撃手(4年)を無安打に封じ、76年ぶりの早明優勝決定戦を制した。早大は明治神宮大会(20日から6日間)に出場する。
115球目に、バットは空を切った。完封勝利のエース・伊藤樹が駆け寄る印出太一主将に飛びつくと、ナインが一瞬で駆け寄った。青空の下、マウンドに歓喜の輪が作られ、春と同じ景色が広がった。3度宙に舞った小宮山悟監督(59)は「満点をあげてもいいくらいの試合。彼らを誇りに思います」と満面の笑みを浮かべ、ナインを褒めたたえた。
「あと1勝」で優勝の早慶戦で2連敗。春秋負けなしだった伊藤樹も7回5失点で24年初黒星を喫した。それでも、夜には切り替えていた。「悔しさで落ち込んだけど、もう一度チャンスがある中で投げきろうと」。中2日で臨んだ優勝決定戦は楽天ドラフト1位の宗山を無安打に封じる3安打完封。指揮官から「これができるなら(前回登板9日の)土曜にやっとけよ」と笑顔で突っ込まれたエースは「この大一番でこれだけの投球ができたのはすごく自信になった」と胸を張った。
指揮官の信念が実った。夏の新潟・南魚沼キャンプでは自らバットを持ち、昭和式ノックを敢行。「捕れないところにわざと打つ。捕れないのをわかっていても、なんとかしようという気持ちを植え付けるために」とチームが緩まないよう、ナインを刺激し続けた。「俺は反骨心を植え付けたい。一番力になるのはそこだから」。ブレずにチームを連覇に導いた。
春の全日本大学選手権では決勝で青学大に敗退。明治神宮大会も、お互い順調に勝ち進めば決勝で再び対戦する。「とにかく決勝戦まで行く。もう一度青山学院の胸を借りて、何とかリベンジしたい」と指揮官。あと一歩で逃した日本一を、今度こそつかみ取る。(臼井 恭香)