ソフトバンク・甲斐拓也捕手(32)が国内フリーエージェント(FA)権を行使することが12日、分かった。球界を代表する捕手が市場に出れば、争奪戦は確実だ。期限前日には権利保有選手が続々と態度を表明。14日にFA宣言選手がNPBから公示され、15日から他球団との交渉が解禁となる。
甲斐が熟考の末にFA宣言を決断した。2010年の育成ドラフト6位で楊志館からソフトバンクに入団。無名の存在から日本球界を代表する捕手にはい上がった男は、国内FA権に特別な思いを持っていた。昨オフの契約更改では球団からの複数年契約の提示を固辞し、単年の2億1000万円でサイン。「(FA権を)取ってからが本当のプロ野球選手だと感じていた」と熱い思いを口にしていた。
宣言前日に新たな勲章も手に入れた。この日、発表された三井ゴールデン・グラブ賞で、2年ぶり7度目の受賞。捕手では11度の伊東勤、10度の古田敦也、英才教育を授かってきた城島健司会長付特別アドバイザー兼シニアコーディネーターの8度に次ぐ歴代4位に浮上した。「7回目という数字を見て、これまで歩んできた道を誇りに思います」と広報を通じてコメントした。
今季は119試合に出場し、打率2割5分6厘、5本塁打、43打点で、4年ぶりのリーグ制覇に貢献。正捕手として17年から4年連続日本一の立役者となり、21年の東京五輪、23年のWBCでも主力として頂点に立った。ソフトバンクは引き続き全力で慰留するが、14日に公示されれば、巨人なども獲得に向けて本格調査に乗り出す見通しだ。いよいよ争奪戦のゴングが鳴る。
◆甲斐 拓也(かい・たくや)1992年11月5日、大分市生まれ。32歳。楊志館から2010年育成ドラフト6位でソフトバンク入団。13年11月に支配下昇格。ベストナインは昨季までに3度、三井ゴールデン・グラブ賞7度。18年日本シリーズMVP。21年東京五輪ベストナイン。170センチ、87キロ。右投右打。今季年俸2億1000万円。