Infoseek 楽天

映画監督、小説家、ミュージシャン…いくつもの顔を持つ甫木元空の“普通ならざる”才能

スポーツ報知 2024年11月14日 10時0分

 2人組ロックバンド「Bialystocks(ビアリストックス)」の甫木元空(ほきもと・そら、32)がマルチな才能で活躍している。映画監督として作品を手がけ、作中の音楽も担当したことがきっかけでアーティストとしても活動。今ではバンドとしてライブツアーも開催している。加えて小説も手がけるなど多才だが、本人は「特別なことをしている実感はないです。普通です」とどこ吹く風。普通ではない甫木元の素顔に迫った。(増田 寛)

 全く飾る姿を見せず、自然体だ。映画監督、アーティスト、小説家と“才能のデパート”だが「別になにかしているわけでもなくて。普通ですよ、普通」と牧歌的に笑う。自身の肩書についても「良きようにお願いします」と、そこにはおごりや自信過剰などは全く感じられなかった。

 「普段の生活? 特別なことは何もしてないです。楽曲の締め切りが近ければギターを弾いて、小説の締め切りがあれば文章を書いて。文章を書くことが僕は苦手なので、すごく時間がかかってしまいますが。煮詰まったら映画を見に行ったり。普通だし地味ですよ」

 “三刀流”の活躍だが、それぞれは甫木元にとってどのような位置付けなのか―。「それぞれがつながっている感じ。一つのテーマに対して、映画、音楽、小説という“表現のカゴ”に仕分けしてます。頭が混乱することもないですね。3つとも、それぞれが煮詰まった時の逃げ口というか、息抜きになっています」と事もなげに語る。

 現在は、バンドとして最大規模となる全国7か所のライブハウスツアーを行っている。ツアーの話になると「ライブは修業です…。MCとかよく分からないし、皆さまに助けられてなんとかできています」と人間味ある思いを語った。

 ピアノ教室の先生をしていた母と、市民ミュージカルの舞台演出などをしていた父の間に生まれた。「本当に普通の家庭だったと思います。少し厳しかったかなってくらい。でも、そういう家庭だったから、“表現する壁”というものはなかったかも」と振り返る。

 「幼少期は、両親の“英才教育”というか、字幕なしでひたすら『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を見させられたり。でも、言っていることは理解できないから、映像の方にばかり集中していた気がしますね。本当に映画といえば、この作品しか知らなかったです」

 小学校時代は合唱団・ピアノ・サッカーを、中学は剣道、高校は軽音部のオーディションに落ちて料理部に所属した。

 「自分のコンプレックスでもあるのですが、本当にハマったものがなくて。埼玉で生まれ育ったのに、自宅にテレビ東京の電波が入らなくて、世代だったポケモンも当時からあんまり見ませんでした。ベイブレードをみんながやっている時にベイゴマで遊んでいたような子どもです。普通の地味な学生時代でしたよ」

 転機は多摩美術大学映像演劇学科に入学したことだった。志望理由は筆記試験や面接などがなく「課題が写真1枚を送るだけだった」から。「屋久島のマンゴー畑で働いている写真」を提出し、一発合格した。

 「映画のことなんて知らなかったし、映画監督になろうとも思っていなかったですね。自分のやりたいことを大学で探せばいいと思っていました。だから、入学当時は周りの熱量の高さにドン引きしました」

 大学で師事したのが「EUREKA」などのメガホンを執った映画監督・青山真治さん(2022年死去、享年57)で、甫木元の才能を開花させた。

 「青山さんも映画監督、小説、歌とやっていたので、やっぱりそこが大きかったです。卒業後も面倒を見てくれて、相談にも乗っていただきました」。16年に監督として最初の長編映画デビュー作「はるねこ」では監督、脚本、音楽を務めたが、その時も青山さんが背中を押してくれた。

 今後はどうなるのか。首をひねりながら「ノープランが好きなので。自他の小説を原作にした映画を撮ってみたいかな。でも、企画次第。普通すぎます?」。普通ならざる才能が今後も開花しそうだ。

 ◆甫木元 空(ほきもと・そら)。本名同じ

 ▼珍名さん 「甫木元」という名字は、インターネットサイト「名字由来net」によると、現高知県である土佐が起源ともいわれており、全国でも90人ほどしかいないという

 ▼生年月日 1992年2月9日。32歳

 ▼出身地 埼玉県

 ▼身長 170センチ

 ▼血液型 A

 ▼特技 なし。「本当にありません」

 ▼憧れの人 青山真治さん

 ▼趣味 映画観賞、音楽鑑賞、読書

 ▼好きな食べ物 お茶漬け

この記事の関連ニュース