◆大相撲 ▽九州場所5日目(14日・福岡国際センター)
脊髄損傷のため7場所連続休場から復帰3場所目の、元幕内で西三段目56枚目の炎鵬(伊勢ケ浜)が初日から3連勝を飾った。同55枚目・大雄翔(追手風)との一番は立ち合いから後退したが、下からあてがって応戦。最後は押し倒した。「立ち合いで、どうしても心の弱さが出ましたね。まだまだというところもありますが、きょう勝ったことはひとつ良かったです」と振り返った。
炎鵬は十両だった昨年夏場所、持病の首痛が悪化。初日から9連敗を喫した後に部屋へ戻ると体が動かなくなり、翌日から休場を余儀なくされた。脊髄損傷のため2週間の入院中は寝たきり。当初は握力が10キロ程度まで落ち、箸も持てなかった。医師から手術を勧められ、日常生活に戻るために相撲は断念するよう告げられた。だが不屈の闘志で復帰への道を歩み、1本のひもを結ぶ練習から始まった壮絶なリハビリなどの日々を乗り越えてきた。
復帰となった今年の名古屋場所は序ノ口で6勝1敗、序二段に番付を上げた秋場所も6勝1敗の成績を残し、今場所は三段目まで番付を戻してきた。長期休場だったため、九州場所は2年ぶり。「明太子、もつ、魚…、全部大好き。おいしいものがたくさんあるので、プリン体に気をつけています」と笑わせた。
ジョークを飛ばす一方で、脊髄損傷の大けがに見舞われただけに「歩いているときも、座っているときも24時間、首のことはずっと考えていますね。体調に気をつけて毎日、過ごしています」。日々、自らの体の状態と向き合いながら関取復帰に向けて精進していく。