「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」に参加中の侍ジャパンは14日、空路で台湾入りした。井端弘和監督(49)は15日の1次リーグ・韓国戦(台北D)に中日・高橋宏斗投手(22)、16日の同・台湾戦に阪神・才木浩人投手(26)を先発させると明言した。連勝がかかる試合に先発する高橋宏は台湾で登板経験のある巨人・戸郷に助言を求めるなど、準備を整えており「100%に近い状態。あとはやるだけ」と必勝を誓った。
普段の穏やかな表情から鋭いまなざしに変わった。ライバル・韓国との大一番を見据えた高橋宏は「100%に近い状態。不安もあるけど、考えすぎず、強い気持ちで攻めていく。あとはやるだけ」と決意。考えるより行動派の“直感型右腕”が強気の投球で、連勝を呼び込む覚悟を示した。
文句なしの抜てきだ。高卒4年目の今季は、開幕から1か月出遅れるも、21試合でチーム最多の12勝を挙げて2年連続で規定投球回に到達した。驚異の1被本塁打で、12球団トップの防御率1・38は、2リーグ制後の球団記録を70年ぶりに更新し、初のタイトルを獲得。宿敵相手のマウンドを託されるには、ふさわしい数字だ。
五輪、WBCなど歴代の国際大会でも、韓国とは熱戦を演じてきた。「サッカーもそうだけど、日本と韓国は絶対に負けられない試合だと理解している」と宏斗。すでに、韓国打線を映像で確認し、21歳の3番・金倒永を警戒した。40―40には届かなかったが、38本塁打、40盗塁の難敵。「勢いのある打者。前にランナーをためないように。自分優位に進められるように冷静に戦いたい」と真っ向勝負に挑む。
台湾を訪れるのは3度目だが、台北Dでの登板は初めて。同地で登板経験のある巨人・戸郷から「狭い球場ではない。東京ドームのマウンドと似てるよ」と助言を受けた。23年のWBC決勝戦でもローンデポ・パークで1回無失点と初めての球場でも力を発揮した。敵地のイメトレを終え、出陣の準備を整えた。
世界一の経験があるとはいえ、代表では初先発。9日のチェコとの強化試合(バンテリンD)では、先発して3回4安打1失点と課題を残したが、直球とスプリットの回転数などの数値を改善。リリースポイントの高さを意識して感覚のズレをなくした。「球数制限がない分、長いイニングを投げられる。0点で帰ってくるイメージで投げたい」と、1点も与えるつもりはない。
この日、空路で台湾入り。移動翌日の登板となる過密日程にも「大変だけど、誰かが投げなきゃいけない。任せてもらえたのはうれしい」と意気に感じている。チームは13日のオーストラリア戦を制し、白星発進。「勢いはついた。僕もその勢いに乗って、勝ちにつなげたい」。バトンを受け取ったチーム最年少右腕は全身全霊で務めを果たす。(森下 知玲)