東京六大学で今年のリーグ戦春秋連覇を達成した早大に、仙台育英(宮城)の湯浅桜翼内野手と花巻東(岩手)の小松龍一投手(ともに3年)が合格したことが分かった。15日に発表があった。湯浅は23年夏の甲子園決勝で敗れた慶応への“リベンジ”を宣言。小松は最速を上げて大学レベルでも真っ向勝負すると決意を語った。
****
高校の悔しさを大学で晴らすと、仙台育英・湯浅は“KEIO”への雪辱を誓った。「(23年夏の)甲子園の決勝で慶応に負けたのでそのリベンジをしたい」と言葉に力を込めた。試験に合わせて今秋リーグ戦の早慶戦を観戦し「投手も打撃も守備もすごくて、これが大学野球か、と思いました」と衝撃を受けた。その中で活躍するために意識しているのは、複数ポジションをこなす対応力だ。
仙台育英では主に二塁や三塁を務めたが、「(早大・小宮山悟監督から)どこでも守れるように、と言われたので」。現在は遊撃の守備にも挑戦中だ。三塁を守った高2時、三遊間を組んだのは現阪神の山田脩也内野手(19)。「脩也さんはこうやってさばいていたな、とかいいイメージしかないです」と最高の手本を思い浮かべながら腕を磨いている。
早大には1学年上に育英でともに戦った高橋煌稀投手や尾形樹人捕手(ともに1年)がおり、練習内容などもリサーチ済み。「自主練習の時間が長いので、何が必要かを考えて自分でやっていかないといけない。そこは育英でやってきたことが通用すると思う」と、高校3年間で積み重ねてきたものを生かして成長につなげるつもりだ。ユーティリティー性を高め、チームになくてはならない存在になって“ライバル”を倒す。(有吉 広紀)
◆湯浅 桜翼(ゆあさ・おうすけ)2006年5月28日、千葉県生まれ。18歳。東京・駿台学園中では軟式野球部に所属。仙台育英では1年秋から公式戦ベンチ入り。2年秋から主将を務めた。2年春夏に甲子園出場。168センチ、69キロ。右投右打。
目指すべき球速にたどり着くため、すべてを鍛え上げる。花巻東・小松は「球速を上げることを第一に、制球力や変化球の精度を上げていきたい。155キロ以上は出したい」と目標を掲げた。現在の最速は150キロ。早大での4年間でさらに力をつけていく。
高校生活で人間性が大きく成長した。3年時、春先に右肩などを痛め、試合どころか練習も満足にできない時期があった。「それまではやりたい練習しかやっていなかった。けがをして、自分に何が必要かを考えるようになった」。今の自分に足りないものを考え、出てきた課題を一つずつ潰していった。現在もその取り組みは続けており、「やればやるほど課題が見えてくる。やらなきゃいけないことばかりです」と話すが、課題を克服することで実力を伸ばしてきた。
今秋リーグ戦の早慶戦を観戦。プレーする先輩たちを見て「自分はまだまだ体が細い」と痛感したという。筋トレなどで強化して体重を増やし、大学レベルの練習に耐えられる、けがをしない体をつくっていくつもりだ。「早大で活躍してプロ野球選手になるのが目標。球の質や制球を上げて、試合に勝てる投手になりたい」と力強く語った小松。エースと呼ばれる存在まで成長し、神宮のマウンドで力投をみせる。(有吉 広紀)
◆小松 龍一(こまつ・りゅういち)2006年7月21日、岩手県生まれ。18歳。崎山中では軟式野球部に所属。花巻東では2年春から公式戦ベンチ入り。2、3年夏に甲子園出場。178センチ、73キロ。右投左打。