巨人の門脇誠内野手(23)が丸佳浩外野手(35)から打撃の「技」と「眼」を盗み3年目の来季、不動のレギュラーの座をつかみ取る。G球場で自主練習を行った16日、丸と合同打撃練習。今季1番打者としてチームを優勝に導いたベテランから、打撃技術や選球眼について助言をもらいながら約1時間、みっちりと打ち込んだ。課題である打率と出塁率アップへオフも鍛錬を積み重ねていく。
門脇が濃密な時間を過ごした。G球場の室内練習場で、丸と約1時間10分の打撃練習。自身の感覚や疑問点を伝え、助言ももらいながら打ち込んだ。飛躍を期す男の晴れやかな表情が充実ぶりを物語っていた。
「去年や今年の打撃スタイルの話をして、待ち方や狙い方、フォームの話もいろいろしました。これだけちゃんと話せるのはシーズンオフにしかできないことだと思うので、いい時間になっていると思います」
現状打破へ今オフは不定期で丸と打撃練習する日を設けた。秋季練習中にも助言を求めたことはあったが、本格的に合同練習を行うのはこの日が初めて。2年目の今季は打率2割4分3厘、0本塁打、21打点。出塁率も3割1分9厘と苦しんだ。打撃力と出塁率アップが不動の定位置奪取に直結することは間違いない。シーズン中から打撃をチェックしてもらっており、オフの“弟子入り”も快諾してくれた。理由は明確。通算1842安打、283本塁打を誇る技術と歴代12位、現役では最多となる1067四球を奪っている選球眼を吸収し、打力を上げるためだ。
「自分はボール球をよく振っている。試合でずっと丸さんの打撃を見ていて、この球を振らないのかとか、自分が打席に立っていたらこれは振るなと思うシーンが多い。(丸は)長打も打ちますし、盗塁もする。これで自分が1番ショートだったら強いなと。あとは自主トレだけ違う人とやって、シーズン入ったら結局自分だけというより、1年間一緒にやれる、見ていただける人がいいと思って」
打撃練習は熱を帯びた。スイング軌道や構え方、コースや球種による球の目付け方。疑問をぶつけたり、考え方を聞いたりしながら交互にマシンの球を打ち込んだ。「僕の今までの失敗談を含めながら話をした」と説明した丸から「強く振るよりも速く振る意識で」という助言などもあり、門脇は「イメージを持つと感覚が全然違う。『強く』だと力んでしまうけど、『速く』だとスッと回れるイメージの差はあったので大事かな」と好感触。開眼へ多くのヒントを得た。
さらに、練習後に打った球を回収する際にも内角のスライダーや、フォークなどの変化球への対応について質問。「丸さんが簡単に球を見送っていた理由も知れた。いろいろリンクしてこうなっていたというサイクルが見えました」と最後の最後まで貪欲に学んだ。
今後も合同練習をG球場で不定期で行う見込み。リーグ連覇、そして13年ぶり日本一のためには高い守備力を持つ門脇の、打撃面での成長は欠かせない。オフに進化を遂げ、来季は不動の遊撃手として君臨する。(宮内 孝太)
◆高木豊Point
門脇の打率がもうひとつ上がってこない原因として、打つポイントが一定していない点が挙げられる。投手寄りに体を動かしながら打ちにいくので、特に状態の悪いときには速い球に振り遅れ、緩い球には泳がされる。
丸の調子がいいときは、軸が体の真ん中から動かない。門脇が参考にできる点だろう。選球眼を向上させるには、軸を動かさず、ボールが来るのをじっと待つ―くらいの感覚を養うことだ。
単純に率を上げたいのなら、引きつけて逆方向に打つのが近道。ただ、左打者の場合、故意に引っ張らなければいけない場面がある。バットコントロールを磨くには、緩い球を投げてもらって相手に打ち返す、ペッパーを数多くこなすことを勧めたい。どうバットを出せば、どこにどういう打球が飛ぶのか。基礎練習の中に、発見があるはずだ。