◆上尾シティハーフマラソン(17日、埼玉・上尾運動公園陸上競技場発着=21・0975キロ=報知新聞社後援)
プロランナーの川内優輝(37)=あいおいニッセイ同和損保=が招待選手として出場し、1時間8分43秒(ネットタイム1時間8分27秒)で走破した。「ほぼ予定通りのタイムでした。ようやく故障が治り、少しずつ(体調が)良くなってきました」と笑顔で話した。大学男子の部では、大東大の棟方一楽(2年)がU20日本記録の1時間1分38秒で優勝した。
川内は昨年10月のパリ五輪マラソン日本代表選考会(MGC)で積極果敢なレースで4位と大健闘。結果やタイム以上にインパクトある走りを見せた。そのわずか3週間後に行われた東北・みやぎ復興マラソンには2時間11分48秒で優勝。昨年の上尾シティハーフマラソンでは学生ランナーたちと激しく競り合い、1時間3分11秒でゴールした。その後、12月の防府読売マラソンでは2時間8分32秒で優勝した。
しかし、今年に入り、左臀部(でんぶ)を傷めて、不調に。2月の香川丸亀国際ハーフマラソンでは1時間12分57秒も要した。7月のゴールドコーストマラソンは2時間42分26秒だった。
「8月はほとんど走りませんでした。9月から5分ジョグして、5分ウォークを2セットという練習から始めました。今日は今季のベストタイムですよ。ほぼ設定通りでした」と現状を明かした。次のレースは、12月1日の防府読売マラソンを予定。「まずは2時間20分切りが目標です」と話す。「(来年2月の)大阪マラソンあたりで、また、上位で走れるような状態に戻したいですね」と明るい表情で話した。
この日の上尾シティハーフマラソンには12大会連続17回目の出場。埼玉県出身の川内にとっては、思い入れのある大会だ。昨年の今大会ではスタート時の並び方をめぐって一部で混乱が発生。そのため、今年の大会からは持ちタイムが優先される並び方に改善された。招待選手の川内は昨年大会は最前列からスタートしたが、今年の大会は第1ブロックの後方からスタートした。
「今年は(昨年のように)1時間3分で走れる状態ではなかったので、学生ランナーの邪魔にならないように後ろの方からスタートしました」とさらりと話す。今年も招待選手のため最前列からスタートすることもできたが、それを遠慮し、1時間8分台のゴールタイムに見合った位置からスタート。公式記録と実際タイム差は16秒生じたが、全く意に介さず。マラソンを愛し、マラソンを知り尽くした川内らしい配慮だった。
現役にして、すでにレジェンドとなっている川内は、この日、地元の埼玉で復活に向けて、確かな第一歩を記した。