阪神・藤川球児監督(44)が17日、就任後初となった高知・安芸での秋季キャンプを打ち上げた。個々の主体性を求めた新指揮官。若虎たちが成長を遂げ、打撃強化の成果も表れた。首脳陣も夜までテーマに掲げられた「没頭」の日々を過ごした。阪神担当キャップの小松真也記者が球児改革と中身の濃い17日間を「見た」。
地元高知での秋季キャンプを打ち上げ、藤川監督は充実感を漂わせた。リーダーの姿勢を求めた佐藤輝の行動が変わり、来季4年目28歳を迎える豊田は危機感たっぷりにアピールした。「昨日も首脳陣全員で(誰がMVPか)話し合ったんですけど、各コーチが挙げた選手の名前が誰一人、重なっていなかった」。定番のキャンプMVPが割れた理由はもちろん、多くの選手が成長したから。随所に球児改革の成果が表れた。
その一つが課題の打撃強化策だ。新任の小谷野1軍打撃チーフの発案で遠くに飛ばすロングティーを徹底させ、特打を5球交代にすることで強く振ることを促した。「量が大事な時もあるけど、今回は質。選手から『手にマメができないキャンプは初めて』と言われたよ」と同コーチ。スイングスピードは軒並み10~20キロアップし、前川ら大砲候補の振りも鋭さを増した。
首脳陣は夜まで「没頭キャンプ」だった。練習後のチーム宿舎では指揮官、1軍コーチ、スコアラーが集まってセ・リーグ各球団の今季の戦いを映像などで丸裸に。来季に向けて検証を重ねた。夕食会場でも藤川監督が座長となり、プチブームになったハイボールを片手によりよいチームの未来像を語り合った。
青年監督が望んだ通り、皆が主体的な戦う集団の土台は仕上がった。「監督業としては、すごく良いスタートが切れてるのかなと。でも、結果が一番なので」。来年2月はシーズンを戦い抜くための体力づくりへ、練習量を課す“地獄の春”を予告。まずは、自らの意図を浸透させた納得の17日間になったに違いない。(小松 真也)