▽大相撲九州場所9日目(18日・福岡国際センター)
脊髄損傷のため7場所連続休場から復帰3場所目の、元幕内で西三段目56枚目の炎鵬(伊勢ケ浜)が初日から5連勝を飾った。同49枚目・旭水野(大島)との一番は左を深く差すと、切り返しで相手の体勢を崩して下手投げで腹ばいにさせた。「落ち着いていけましたね」と振り返った。
炎鵬は十両だった昨年夏場所、持病の首痛が悪化。初日から9連敗を喫した後に部屋へ戻ると体が動かなくなり、翌日から休場を余儀なくされた。脊髄損傷のため2週間の入院中は寝たきり。当初は握力が10キロ程度まで落ち、箸も持てなかった。医師から手術を勧められ、日常生活に戻るために相撲は断念するよう告げられた。だが不屈の闘志で復帰への道を歩み、1本のひもを結ぶ練習から始まった壮絶なリハビリなどの日々を乗り越えてきた。
復帰となった今年の名古屋場所は序ノ口で6勝1敗、序二段に番付を上げた秋場所も6勝1敗の成績を残し、今場所は三段目まで番付を戻してきた。ここまで好調を維持し、三段目優勝の期待も膨らむ。ただ「終わったときにそうなっていれば一番いいですが、六番相撲へしっかり準備して、最高の状態で土俵に上がりたいですね」と冷静に目の前だけを見つめた。
九州開催の場所では長期休場中だった昨年を除き、全て勝ち越している。徐々に冬めいてきたが「寒いのは好きです。(石川・金沢市出身で)雪国生まれなので。一番体調がいいし、合っています」と“お得意”としている様子だ。「(前夜は)おすしをいただいてガッツリとプリン体を取っちゃいました」と笑わせつつ、「勝っておいしいご飯を食べたいですね」と、さらなる白星の上積みを狙う。