巨人の山崎伊織投手(26)が21日、「開幕投手をやりたい」と最有力候補である戸郷翔征投手(24)に宣戦布告した。都内の球団事務所で契約更改交渉に臨み3900万円増の年俸9000万円でサイン。2年連続2ケタ勝利を達成し来季5年目を迎える右腕が、海外FA権を行使しメジャー移籍を目指す菅野の穴を埋めるべく強い覚悟を口にした。
揺るがない思いを山崎伊は口にした。契約更改の会見場。来季のことを問われ、まずは「目標というのはなんぼでも言えると思いますが、言ったからには責任が出ると思います」と前置きして続けた。「それを踏まえて自分的には開幕投手をやりたい。全員が全員、戸郷だと思っていると思います。監督、コーチたちに、迷っていただけるくらいまではやらないといけない。ここで言うことでアピールにはなると思うので、山崎伊織もいるぞ!と」。若きエース・戸郷に堂々と挑戦状をたたきつけた。
今季は2歳年下の戸郷とともに先発ローテの軸として、主に週頭の火曜日を託された。24試合に登板して2年連続となる10勝(6敗)、防御率2・81をマークし、年俸は3900万円増の9000万円でサイン。しかし、前半戦は7勝2敗、防御率1・67も、後半戦は3勝4敗、同5・44。「リーグ優勝はしたんですけど、後半があまり勝てずに終わって去年よりも悔しい気持ちが強いシーズンだった」と納得はできなかった。
そんな自分を戒めるため、またチームを背負う存在としてあえて宣言した。「具体的な思いとか、今まで言ってこなかったんですけど言うことでやらないとあかんな、と思いますし、今年の後半はひどかったので」。東海大の先輩で過去に自主トレをともに行い、今季15勝の菅野はメジャー挑戦で来季はいない。その穴を埋め、戸郷とともにチームをけん引するべく、強い覚悟を示した。
成績だけではない。自主トレは昨年同様、G球場で赤星と行う予定。後輩右腕からも「2年連続2ケタ勝っていて、秘けつとかをどんどん聞いていきたい」と慕われている。山崎伊は「一人だったら妥協しちゃう。赤星は終わろうと話しても『まだやろう』って言ってくれる」と説明したが、後輩を引き上げる立場にもなってきた。
あとは掲げた目標に向けてガムシャラに走るだけだ。シャイな男が開幕投手奪取宣言。「プロに入ったときには(そう言うとは)想像もできなかった。今年火曜日の週のスタートを投げさせていただいて、チームの1週間もかかっていますし、勝たないとあかんなという思いはあった。目標を置いてやりたい」。芽生え始めたエースへ上り詰める自覚。巨人の看板と未来を背負い右腕を振る。(水上 智恵)