◆第55回記念明治神宮野球大会第2日 ▽高校の部準々決勝 横浜2―0明徳義塾(21日・神宮)
高校の部は、最速151キロを誇る横浜(関東)の織田翔希投手が、明徳義塾(四国)を2安打に抑え1年生としては今大会16年ぶり6人目の完封。全国デビューのマウンドで7年前の優勝校を圧倒し、ベスト4進出に貢献した。敦賀気比(北信越)も準決勝に駒を進めた。大学の部は、天理大(関西5連盟第1)が3度目の出場で大会初勝利を挙げて4強一番乗り。環太平洋大(中国・四国3連盟)は、楽天ドラフト2位の徳山一翔投手(4年)が救援で4回無失点と好投した。
細かい雨が降り続ける神宮で、織田は堂々と右腕を振り続けた。「横浜スタジアムと似た硬いマウンド。ホームベースがハマスタよりも近く見えて、投げやすかったです」。悪条件のなか126球を投げ切っての完封劇に「また、ここで試合ができるのがうれしかった」。三ゴロで最後のアウトを取ると、左手のグラブを高々と突き上げた。
この大会での1年生投手の完封は、08年の慶応・滝本健太朗以来、6人目の快挙だ。02年には、東北・ダルビッシュ有も達成したが、横浜のレジェンド・松坂大輔は、2年生だった97年に3試合連続完投で優勝に導いたが、完封はなかった。
相手は試合巧者の明徳義塾。追い込まれた打者はファウルで粘った。球数が100球を超え、疲労がピークに達する8回には23球を要したが、それでも右腕は崩れなかった。「カットされても、ボールには自信を持っている。びびらず、(捕手の)駒橋さんを信じて投げました」。この日の最速は145キロ。高めの直球で空振りやファウルを取る場面が多く、明徳義塾・馬淵史郎監督(68)は「織田君はハイボールが良かった。あれを振らなければ…」と悔しがった。
185センチの長身ながら、体重は71キロ。体が未完成な状況での圧巻のパフォーマンスに、視察したスカウトからは「順調なら、2年後はすごいことになっているかも」との声があがった。「自分も松坂さんのような投手になりたい」と織田。鮮やかな全国デビューを果たし、“怪物”への階段をひとつ上がった。(浜木 俊介)
◆記録メモ
▼6人目の1年生完封勝利 横浜の1年生・織田翔希が完封勝利。明治神宮大会で完封勝ちした投手は、1回戦の東洋大姫路・阪下漣(2年、5回コールド)に次ぎ43人目、51度目。1年生で記録したのは
年 投 手 ・学 校 回戦
80 荒木 大輔・早 実 準々
86 五島 義一・川口工 〈1〉回
02 ダルビッシュ有・東 北 準々
03 福井 優也・済 美 〈1〉回
08 滝本健太朗・慶 応 準決
24 織田 翔希・横 浜 準々
(福井は7回コールド)
織田が6人目だ。
◆織田 翔希(おだ・しょうき)2008年6月3日、福岡・北九州市生まれ。16歳。足立小1年で野球を始め、3年から投手。足立中では軟式野球部に所属した。横浜では今春の県大会からベンチ入り。秋の関東大会準々決勝の東農大二戦で、公式戦初完投初完封を飾る。185センチ、71キロ。右投右打。