スキージャンプの24~25シーズン初戦、W杯リレハンメル大会が22日に開幕する。女子で18年平昌五輪銅メダルの高梨沙羅(28)=クラレ=が21日までに合宿地のドイツからオンラインでスポーツ報知の取材に応じ、26年のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪への思いを語った。五輪プレシーズンで3季ぶりW杯制覇と世界選手権での表彰台を弾みに、4回目となる大舞台での飛躍につなげる。(取材・構成=宮下 京香)
五輪のプレシーズンが22日のW杯で幕を開ける。沙羅は10月末に拠点のスロベニアに戻り、オーストリア、ドイツ合宿などの様々な台で飛び、調整を重ねてきた。
「五輪の悔しさは、その試合でしか消化できないものだと思っています。今季はプレシーズン。五輪の舞台でパフォーマンスできるものをそろえていきたい」
過去3回の五輪では金メダルには届かなかった。22年北京大会の混合団体ではスーツ規定違反に揺れた。あれから2年9か月、「五輪って何だろう?」と自問自答をしてきた。今夏のパリ五輪を訪れ、少し答えが見えた気がした。
「明確な答えはまだ出ていないけど、パリ五輪を観戦して思ったのが、多くの人が一体となって楽しめる場所だなと。勝っても負けても、多くの人を沸かせられる選手って素晴らしいなと、胸を打たれました。4年間の集大成をぶつけるからこそ、生まれる感動がある。私も多くの人を沸かせられるパフォーマンスができるようにしたい。それがきっと自分にとっても、喜びなんだろうなと思います」
出場すれば4度目となる五輪へ、気持ちの強さが必要だと考える。
「試合の一つという考えではあるけど、自分をコントロールできないほどの緊張感が出てくる。これまで五輪に食べられるではないけど、どうしても雰囲気にのまれてしまう自分がいた。自分を持つこと、どんな状況でもどっしり構えていられるぐらいがいいのかな」
20年から練習環境を求めてスロベニアに拠点を移した。ホテルの1室を借りて住み、ジャンプだけのことを考える日々を過ごす。
「スーパーマーケットに行くのが楽しみというぐらい(周りは)何もない場所。歩いていける最寄りの店に行ったり、車で30分かけてイタリアの店に出かけたりします。世界からトップ選手が集まるので、そのテクニックも見られる。集中できる環境ですね」
W杯では、22年3月以来、3季ぶりとなる通算64度目の頂点を掲げる。来年2~3月には世界選手権(トロンハイム)が控える。
「今度(の五輪)こそ応援してくださる皆様に恩返ししたい。今季は世界選手権に向けてやっていって(W杯も)優勝できるように頑張ります」
夢舞台で輝くため、沙羅の勝負のシーズンが始まる。
◆高梨 沙羅(たかなし・さら)1996年10月8日、北海道・上川町生まれ。28歳。小学2年で競技を始め、12年W杯蔵王大会で日本女子初制覇。上川中、グレースマウンテンインターナショナルを経て日体大を卒業。五輪は14年ソチ大会4位。18年平昌大会は個人NHで日本女子初の銅メダル。22年北京は個人、混合団体ともに4位。昨季はW杯未勝利で個人総合9位。W杯歴代最多通算63勝、116度の表彰台。趣味はカメラ。152センチ。