◆明治神宮野球大会 第2日▽大学の部準々決勝 札幌大1-2天理大(21日・神宮)
38年ぶり出場の札幌大は天理大(関西5連盟第1代表)に1―2で敗れ、1986年以来の勝利と4強入りを逃した。7安打を放った打線が、1回に4番・佐野翔騎郎右翼手(4年=札幌大谷)の左犠邪飛で先制。秋季リーグ戦5勝を挙げた大黒柱のエース左腕・長谷隼兵(4年=旭川龍谷)が粘りの投球を続けたが、5回に逆転を許して金星を逃した。
あいさつを終えると、札幌大・長谷はスタンドに向かって何度も頭を下げた。野球を始めてから初の全国大会で5回6安打2失点と好投するもリードを守り切れず、「最後の最後で自分の弱さが出た」と唇をかんだ。
6月の全日本大学選手権4強の強豪に対し、4回まで無失点。毎回走者を背負いながらもなんとか0を並べていたが、アクシデントに見舞われた。「4回ぐらいから(両)足がつってしまって、粘りながらマウンドに立っていた」。DH制のリーグ戦では経験の無い打席で全力疾走したことや硬いマウンドでの投球、予定よりも約2時間遅れで試合が始まったことなどが影響し、徐々に異変が生じた。
4回の打席で三振に倒れた後に治療を受けて5回のマウンドに上がるも、先頭打者に死球。その後、内野安打2本で無死満塁のピンチを招くと2者連続犠飛で逆転を許した。スタンドで観戦した恩師の旭川龍谷・高橋健監督が「負けず嫌い」と称する性格でもこらえられないほどの痛みが両ふくらはぎに走り、「このまま投げても迷惑がかかる」(長谷)と、5回を投げ終えてマウンドを降りた。
万全であれば―。そんな歯がゆさも残る全国デビュー戦となったが、大舞台でリーグMVPの実力は示した。卒業後、道内の企業チームでプレーを続ける予定の左腕は「まだまだ弱い部分がいっぱいある。修正して、(社会人では)1年目から戦力として活躍したい」。古豪復活の原動力となった背番号1は、この悔しさを胸に次のステージに進む。(島山 知房)
★札幌大・伊藤翼中堅手(3年=1番打者で3安打)「悔しい。(7回1死二塁の)チャンスで回ってきたけど、三振してしまった。(来春は)全国大会出場が目標」
★札幌大・佐野翔騎郎右翼手(4年=1回に先制犠飛を放つなど2安打1打点)「(高校時代に優勝し)思い出のある球場でしたし、大学4年生で最後の大会で戻って来れたのはうれしい」