◆大相撲 ▽九州場所13日目(22日・福岡国際センター)
脊髄損傷のため7場所連続休場から復帰3場所目の、元幕内で西三段目56枚目の炎鵬(伊勢ケ浜)は6勝1敗で今場所を終えた。
勝てば三段目優勝が決まる同18枚目・藤闘志(藤島)との一番は最初は相手が突っかけ、2度目は自身が突っかけ、3度目で立ち合い成立。藤闘志の激しい突っ張りに中に入れずに押し出され、土俵下に転落した。「情けないし、悔しいですね。全てにおいて自分が劣っていました。そんな簡単にいくような世界じゃないので、また明日から頑張ります」と唇をかんだ。
炎鵬は十両だった昨年夏場所、持病の首痛が悪化。初日から9連敗を喫した後に部屋へ戻ると体が動かなくなり、翌日から休場を余儀なくされた。脊髄損傷のため2週間の入院中は寝たきり。当初は握力が10キロ程度まで落ち、箸も持てなかった。医師から手術を勧められ、日常生活に戻るために相撲は断念するよう告げられた。だが不屈の闘志で復帰への道を歩み、1本のひもを結ぶ練習から始まった壮絶なリハビリなどの日々を乗り越えてきた。
復帰となった今年の名古屋場所は序ノ口で6勝1敗、序二段に番付を上げた秋場所も6勝1敗の成績を残し、三段目まで番付を戻してきた土俵で、長期休場から復帰後初の無傷6連勝を飾ったが優勝にはあと一歩、届かなかった。7番を取り終え、「この番付でも7番取れたことが一番良かったかなと思いますが、まだまだ足りないものだらけなんだなと思いました」と自らに厳しく話した。
来年初場所(1月12日初日・両国国技館)はさらに番付を上げることになる。場合によっては幕下復帰の可能性もある。炎鵬は「来場所は今場所よりも、間違いなく強くなっていると思います。この悔しい思いを来場所の土俵にぶつけたいと思います」と雪辱を誓っていた。