◆第55回記念明治神宮野球大会▽大学の部準々決勝 青学大2―1福岡大(22日・神宮)
大学の部は、東都リーグの春秋V、全日本大学選手権制覇と合わせた大学4冠を目指す青学大が福岡大(九州3連盟)との投手戦を制し、準決勝に駒を進めた。智弁和歌山のエースとして21年夏の甲子園を優勝した実績のある中西聖輝投手(3年)が、先発で5回まで完全投球。8回途中無失点の好投で勝利に貢献した。創価大(関東5連盟第1)もベスト4進出。高校の部は、東洋大姫路(近畿)、広島商(中国)が4強に入った。
王者・青学の“負けない男”中西の神経は研ぎ澄まされていた。大学4冠への大切な初戦。智弁和歌山3年の夏、甲子園で頂点に立った経験を持つ右腕は「リーグ戦とは違って負けたら終わり。一つのミス、1失点が命取りになる。高校の時を思い出してマウンドに上がりました」。明治神宮大会初登板で、5回までパーフェクト、わずか46球で打者15人を退ける快投を披露。「無駄な球がそれほどなく、テンポ良くいけました」。145キロ前後のキレのある直球をコーナーに決め、スライダー、フォークもさえた。
6回の先頭打者に初安打を浴び、8回に内野安打と死球で1死一、二塁のピンチを招くとマウンドを降りた。「自分の弱さが出た。完封できるレベルではない。悔しい気持ちでした」と思いを明かしたが、試合後は笑顔で仲間と勝利を喜び合っていた。「トーナメントということを考えると、やはり勝てたのがうれしかった。自然と笑顔になりました」と笑った。
来秋ドラフト候補に挙がる最速152キロ右腕。リーグ戦では通算19試合に登板して8勝無敗の成績を誇る。視察した中日・岡野スカウトは「投手として全体的なレベルが高い。ストライク先行で自分から崩れることがない。勝てる投手です」と高評価を与えた。
常広(広島)、下村(阪神)の2本柱を擁し、今年と同じく大学4冠をかけて臨んだ昨年は、決勝で慶大に敗れた。「あの投手陣でも一歩届かなかった厳しい大会。悔しさは絶対に晴らしたい」。秋の日本一まであと2勝。負けない男は負けないまま、24年シーズンを締めくくる。(浜木 俊介)
◆中西 聖輝(なかにし・まさき)2003年12月18日、奈良県生まれ。20歳。智弁和歌山では1年夏に背番号18で甲子園出場。3年夏はエースとして3試合に登板し、智弁学園との決勝は救援で優勝投手になった。青学大では2年春からリーグ戦に登板。今秋は6勝0敗の成績でベストナイン、最優秀投手に選出。182センチ、90キロ。右右。