◆第55回記念明治神宮野球大会第4日▽高校の部・準決勝 横浜3―1東洋大姫路=延長11回タイブレーク(23日・神宮)
高校の部は、横浜(関東)が延長11回タイブレークで東洋大姫路(近畿)を下し、松坂大輔を擁した97年以来の優勝に王手をかけた。村田浩明監督(38)は延長10回1死満塁のピンチで“5人内野手シフト”を敷く執念の采配を見せた。初出場の広島商(中国)は壮絶な延長戦を制して決勝に進出した。
後がない場面で、横浜の村田監督が勝負に出た。同点の10回1死満塁。左翼手を下げて起用した内野手の林田滉生(1年)が向かう先は、二塁ベースの横だった。通常のレフトの守備位置は無人。1万5000人が詰めかけた神宮がどよめいた。
前進守備でスクイズをケアした上で、林田経由の併殺も狙う陣形。右打ちの東洋大姫路の9番・阪下漣投手(2年)の打力を踏まえての決断だった。「投手の奥村(頼人)がしっかり投げたら引っ張れないというデータがありました。練習はしていたので、当たり前にシフトを敷くことができました」と指揮官。奥村頼が阪下を三振に仕留め、次打者に対しては通常の守備位置に戻して二ゴロに打ち取った。息を吹き返した横浜は、11回に2点を挙げて勝利をつかんだ。
捕手として03年センバツ準Vに貢献した村田監督は、妥協のない守りの追求こそ横浜の伝統と考える。「今日は100回に1回、1000回に1回あるかというプレー。野球は考えれば考えるほど、いろいろな作戦がある。それが、渡辺(元智)監督、小倉(清一郎)コーチが作られてきた野球です」。この秋の目標は「完全優勝」。守りの底力で公式戦連勝を「14」とし、松坂を擁した97年以来の頂点に手をかけた。(浜木 俊介)