楽天・田中将大投手(36)が24日、今季限りでの退団を電撃表明した。球団が30日にNPBに提出する保留選手名簿に記載しない旨を発表したことを受けて、自身のYouTubeチャンネルを更新。「来季の契約を結ばずに新たなチームを探すことに決めました」と明言した。今季の年俸2億6000万円からの大幅な減俸提示に同意せず、自由契約の道を選択。日米通算197勝のベテランが、他球団移籍を目指すことになった。
“楽天の顔”とも言うべき背番号18が、杜(もり)の都を去ることが決まった。午後6時。球団から田中将と協議した上で自由契約とする旨が発表された。その数分後、田中将も自身のYouTubeチャンネルを更新。「この度、私は来季の契約を結ばずに新たなチームを探すことに決めました」と退団の意思を示した。23日の楽天モバイルでのファン感謝祭で「とにかく来年は1軍の舞台に立てるように頑張っていきます」と宣言してから一夜が明け、急転直下の展開になった。
昨年10月に受けた右肘手術の影響もあり、日米通算18年目の今季はわずか1試合の登板で、初めてシーズン未勝利に終わった。それでも球団は「必要戦力」と判断。これまでの貢献度も加味した上で契約延長を打診することを決めた。今季の成績を踏まえ、野球協約で定められた減額制限(1億円超えは40%)を超える来季年俸を提示したが、今季推定2億6000万円の40%にあたる1億400万円を大幅に超える減額だったとみられ、右腕との交渉はまとまらなかった。
オンライン会見を開いた石井シニアディレクター(SD)は「減額制限を超える減俸を提示して選手の同意を得られない場合、球団は選手に対して保留権を放棄しないといけないので、そういう流れで田中選手とは自由契約になった」と経緯を説明。球団は功労者に対して再三にわたって残留要請をしてきたものの、最終的には本人から「自由契約にしてほしい」という連絡があったという。再契約の可能性について、石井SDは「もちろん可能」と田中将側が求めた場合には再交渉する姿勢も示した。
田中将は駒大苫小牧から2006年の高校生ドラフト1巡目で入団。13年にはシーズン24勝無敗でチームを初の日本一に導くなど数々の伝説をつくり、14年から米大リーグ・ヤンキースに移籍した。メジャーでは78勝(46敗)を積み上げ、21年1月に8年ぶりに日本復帰したが、4年間で通算20勝33敗と不本意な成績に終わっていた。
現時点では「来季はどこでプレーをするかというのはまだ何も分からない状態」としつつ、「来季は今年投げられなかった分、さらにしっかりと投げて戦っていきたい。結論が出た時に、またこの場で自分からみなさんの方にご報告をさせていただきます」などと語った。
目標に掲げる日米通算200勝にあと3勝。新天地で再スタートを切ることができるか。今後の進展に注目が集まる。
◆田中 将大(たなか・まさひろ)1988年11月1日、兵庫県生まれ。36歳。駒大苫小牧で甲子園に3度出場し、2年夏に優勝、3年夏に準優勝。2006年高校生ドラフト1巡目で楽天に入団。13年はプロ野球新記録の開幕24連勝(無敗)で球団史上初のリーグ優勝、日本一に貢献した。同年オフにポスティングシステムでヤンキースに移籍し、21年から楽天に復帰。日本での主なタイトル・表彰はMVP、沢村賞2度、最多勝2度など。188センチ、97キロ。右投右打。既婚。
◆保留選手名簿 各球団は、次の年度も契約を結ぶ意思のある選手を保留選手名簿に掲載して毎年11月30日以前にコミッショナーに提出。点検の上、毎年12月2日に公示される。名簿から外れた選手は自由契約選手として公示され、他球団と交渉、契約できる。中日との契約が今季で終わるライデル・マルティネス投手も名簿から外れる見込みとなっている。