和歌山市の「和歌山城ホール」で28日、将棋・第37期竜王戦七番勝負第5局の2日目が指され、挑戦者・佐々木勇気八段は先手の藤井聡太竜王=名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖=に91手で敗れた。シリーズは佐々木から見て●〇●〇●で連勝はならず、2勝3敗でカド番に。藤井はまだ七番勝負のタイトル戦では連敗を許していない。
すべて先手が制しているシリーズ。後手の佐々木は「多分、後手では初めてじゃないかな」と意欲的に雁木を選択。ただ「考えていた形と若干ズレがあって、その少しの違いが訂正できなかった」といい、1日目の封じ手も「かなりマズいかなと。細かいミスを考えても分からなかったので、その辺りが指し慣れていないところかな」と新作戦の難しさを振り返った。
2日目も「どこまで行っても歩が少ない将棋で、攻めにも受けにも歩がないのがキツかった」と完敗を認めた。
第6局は12月11、12日に鹿児島県指宿市「指宿白水館」で指される。次は先手番で、藤井に七番勝負では初体験となる最終局へ誘いこみたい。悲願の初タイトルへの逆襲へ、大盤解説会場では「本局は藤井竜王にうまく指されてしまった。自分では考え抜いて指したつもり。どこが敗着か今は分かりませんが、そういうところを改善して次に向かいたい」。初めて訪れた和歌山のファンに向けては「“ほろ苦デビュー”ということで…。また頑張りたい」とタイトル戦での再訪問を宣言した。