◆関西大学ラグビーAリーグ▽最終節 天理大31ー15京産大(30日・花園)
天理大が4年ぶり13度目の頂点に立った。勝った方が優勝という大一番で、昨季まで3年連続全勝Vの京産大から5トライを奪う快勝。反撃開始のトライなど攻守に活躍したHO寺西翔生(4年)=常翔学園=がプレーヤー・オブ・ザ・マッチ(POM)に輝いた。近大は関学大を破って3位に滑り込み、1位・天理大、2位・京産大とともに全国選手権進出を決めた。関大と摂南大は入れ替え戦(14日・天理親里)に回る。
4年ぶりの優勝を告げるノーサイドの笛が鳴り響き、天理大フィフティーンは抱き合って喜びを爆発させた。FB筒口允之(まこと)主将(4年)=長崎南山=は「苦しい練習を乗り越えて全員で勝ち切ることができた。素直にうれしい」とかみ締めた。
前半は12―10の接戦。それでも筒口は「ゴール前まで行ったら取り切れる自信があった」と、自信を持って後半を迎えた。鍛え上げたセットプレーを中心に、後半だけで3トライ。1トライ5点の京産大に対し、19点を奪って突き放した。
今年1月、現4年の同級生で、昨年度の全国4強に貢献したCTB上野颯汰さんが帰らぬ人となった。2月は部活動を完全休止。筒口は「起きてしまったことは取り戻せない。『颯汰のために頑張ろう』というのが、シーズンの始まりだった」と振り返る。加えて9月までに10人が退部。どん底とも言える状況で開幕を迎えたが、3月に定めたスローガン「Enjoy」を常に念頭に置き、結束力を高めてきた。第6節で近大に敗れながら、1敗同士で迎えた2強決戦に快勝。POMの寺西は筒口同様、「今日は80分間、楽しんでできた」と会心の笑みを見せた。
筒口は試合前、「彼(上野さん)も上から見てくれていると思う」とメンバーに伝えたという。試合後も改めて「いろんな人の思いを背負って戦えたのが勝利につながった」と、1年の歩みを思い起こすように言葉を紡いだ。「まだ僕らと一緒に戦ってくれていると思う。仲間として、一緒に日本一を目指していきたい」。前回リーグV時と同じ全国の頂点を、上野さんとともにつかみに行く。(森口 登生)
○…京産大は初の4連覇を逃した。前半は2点差で折り返したものの、後半は立て続けにトライを奪われて完敗。共同主将のCTB辻野隼大(4年)=京都成章=は「自分たちも敵陣に入って得点するチャンスはあったが、そこで取り切れなかったことが敗因」と唇をかんだ。開幕5連勝後にまさかの連敗で優勝を逃す結果となり、「京産大としての歴史、プライドがチームに根付いていなかったのかな」と肩を落とした。