歌舞伎俳優の尾上松緑、中村雀右衛門らが出演する歌舞伎座「十二月大歌舞伎」(3~26日)の第2部「加賀鳶」などの特別ビジュアルが2日に公開され、全5種をセットにしたポストカードの発売が発表された。
今月の歌舞伎座公演は3部制で開催する。松緑、雀右衛門らが出演する「加賀鳶」は江戸の粋を感じる河竹黙阿弥の傑作。松緑が天神町梅吉と竹垣道玄の2役を初役で勤め、雀右衛門が道玄とつるんで悪事を働く女按摩お兼を勤める。特別ビジュアルには、暗闇の中に小悪党の按摩・道玄とお兼の姿が浮かび上がり、そのまなざしから怪しげな雰囲気が漂う。
同じく第2部の「鷺娘」は中村七之助が鷺の精を勤める舞踊。しんしんと降りしきる雪の中に現れる白無垢姿の娘の静謐な雰囲気と、恋の妄執に取り憑かれた鷺の精の激しい舞。恋に迷う女性の姿をさまざまに見せていく早替りや、雪の舞う儚く幻想的な雰囲気の中、激しく踊る幕切れに注目だ。
第1部では絵本発刊30周年を記念して「あらしのよるに」を8年ぶりに上演。原作の絵を背景に、中村獅童演じるがぶと、初役となる尾上菊之助演じるめいが仲良く絵本から飛び出た様子が描かれた特別ビジュアルには、狼と山羊が奇跡的な友情を育んでいく作品の魅力が凝縮されている。
第3部は中村屋ゆかりの舞踊「舞鶴雪月花」と、泉鏡花の戯曲の中でも屈指の名作「天守物語」を上演する。「舞鶴―」は、中村勘九郎が愛らしい娘姿の桜の精、儚い運命を待ち受ける松虫、そして軽妙な雪達磨の3役を踊り分ける変化舞踊だ。「天守―」は、演出も担当する坂東玉三郎が2014年以来、10年ぶりに歌舞伎座で美しく気高い富姫を勤める。姫川図書之助を市川團子が初役で勤めることでも注目されている。
ポストカードは「あらしのよるに」「加賀鳶」「鷺娘」「舞鶴雪月花」「天守物語」各1枚ずつ計5枚セットで税込み1500円。歌舞伎座地下2階の「かおみせ」、1階の「木挽町」、歌舞伎座オンラインストアで販売する。