阪神・藤川球児監督(44)が2日、OBで球団スペシャルアンバサダー(SA)を務める糸井嘉男氏(43)が、来年2月のキャンプに参加することを明かした。現役時代に6年連続シーズン打率3割を記録するなど、通算1755安打を誇る超人。指揮官は「打撃部門」の“特命コーチ”を託す方針で、近大の先輩・後輩で「一番心が通じ合う」とみる佐藤輝への助言にも期待する。
糸井氏は2022年に現役引退。翌年から選手の相談役などの役割を担うSAに就任し、イベントやメディアを通じた活動も積極的に行っている。キャンプへの本格参加は現職に就いてから初で期間は未定。現役時代に共闘した藤川監督は「小谷野打撃コーチとはオリックス、日本ハムで一緒にやっている。佐藤へのアプローチとか。小谷野の助けにもなるだろうし。小谷野と上本(打撃コーチ)が新任なんで、糸井が一番分かっている選手が多い」と選手の特長など首脳陣との情報共有の役割も任せる。
監督自身もSA(球団本部付スペシャルアシスタント)として来訪したキャンプでブルペン場に入り、投手に助言を送ることがあった。糸井氏が打撃ケージ裏に来る可能性は「その時がくれば分かるかな(笑)」とはぐらかしたが、十分にありそうだ。この日、甲子園で自主トレを行った佐藤輝は「面白そうなのでしゃべってみたい」と先輩との野球談議を心待ちにした。「一番お世話になった」と慕うサンズも、今季限りで駐米スカウトを退いてキャンプ地を訪れる予定。今季も主に中軸を担い、チームトップタイの16発を放った背番号8にとって、これ以上ない進化のための土壌だ。(中野 雄太)
〇…藤川監督は、プロ通算381盗塁を誇る阪神OBの赤星憲広氏が、来年2月のキャンプで臨時コーチを務めることも明かした。2023年から3年連続で第2クール中に指導予定。「走塁面のところを1、2軍ともに。特に若い選手たちの糧になれば。磨いておきたいところがチームとしてもある。赤星さんは解説の時間、評論の時間が非常に長いので、選手たちをいろんな角度から見られる世界観がある」と期待した。
◆糸井SAと佐藤輝の師弟関係 共に近大出身。同じ左打ちのスラッガーで佐藤輝には大学時代「糸井2世」と異名がつけられた。阪神では21年から2年間同僚で、佐藤輝のルーキー時代にはサングラスをプレゼント。オフには当時オリックスの吉田正尚(現・Rソックス)と3人で自主トレ。22年の引退会見では「もっと練習せい」とゲキも飛んだ。昨季は日本一祝いにスイス「オーデマ ピゲ」社製の高級時計が贈られた。