◆第76回朝日杯FS・G1(12月15日、京都・芝1600メートル)
第76回朝日杯FS・G1は15日、京都競馬場の芝1600メートルで行われる。様々な角度から勝ち馬を探る「考察」は、玉木宏征記者が担当。プロローグ編では、昨年まで3年連続でレースを制している2戦2勝馬のなかから、パンジャタワーをピックアップ。担当助手が製作するお尻の“馬具”にも注目した。
今回の朝日杯FSは、過去3年(21年ドウデュース、22年ドルチェモア、23年ジャンタルマンタル)でレースを制している2戦2勝馬が4頭。混戦の様相を呈している。人気を集めそうなアルテヴェローチェの前走は、稍重でのレースで評価が難しい。それなら同じ稍重でも、8番人気で京王杯2歳Sを制したパンジャタワーはどうか。新馬戦はチグハグだったが、2戦目で優等生に変化を遂げていたのだ。
担当の五十嵐公司助手(48)はその前走を「直線もぶれずに走ってきたし、ゴール後も止まらなかったほど。心臓もいいですよ」と語る。返し馬の際に鞍上の松山が「次を見据えた競馬をしてきます」と言い残し、レース後には「特にマイルを意識せず、いつも通りの調整を」と助言してくれたそう。4日の1週前追い切りにも騎乗した松山は「馬の後ろでもしっかり我慢できて操縦性が高く、マイルはもつと思います」と自信を深めていたという。
五十嵐助手の好調ぶりにも注目している。栗東トレセン21年目の中堅。安田隆厩舎時代の14年のユニコーンS(レッドアルヴィス)で重賞初Vを決め、今年7月の中京記念(アルナシーム)で重賞2勝目。立て続けに11月の京王杯2歳Sまで勝った。2頭の担当馬が半年以内に重賞を勝つのは珍しいケースだ。
ところでパドックやレース中の写真を注視すると、お尻に黄色の毛玉の通称「ポンポン」を2つ付け、馬名の略である「P」「T」と黒字で書かれているのが分かる。もともとは蹴り癖があるような馬が、後方の人間に注意喚起するための目印だが、おしゃれ感覚で付けている馬もいて、PTはまさにそれ。製作した五十嵐助手は「ほんの少しだけ手先が器用なんです(笑い)。前走で付けたポンポンは、雨で汚れたので新調しました」とニヤリ。人間がG1を意識しすぎてピリピリするよりは、遊び心も持っているのがいい。ファンにも楽しんでもらいたいという思いで、同助手はXも更新しているので「パンジャタワー」で検索を。私も「P」「T」=ピッタリ的中を目指し、1週間奔走します。(玉木 宏征)