俳優の長塚京三が11日、都内で主演映画「敵」(吉田大八監督、来年1月17日公開)の先行プレミア上映会に共演の河合優実、瀧内公美らと出席した。
筒井康隆氏の小説が原作。大学教授を辞めて10年になり、静かな日々を送っていた男(長塚)に起きる異変をモノクロで描いている。
本作は11月に行われた第37回東京国際映画祭で、コンペティション部門の最高賞、長塚の最優秀男優賞、吉田監督の同監督賞の計3冠を獲得した。
長塚は快挙を受けて「びっくりして監督と飛び上がりました。この映画は、50年(俳優を)やってきて自分の姿をみて、声を聞いて初めて感動しました。いい気なもんで、大人げないんですけど」と照れ笑いし、「胸に来るものがありました」と喜びを語った。
河合は、長塚との共演を「目や体からにじみ出るものを受けて、すごく集中力を使いました。完成をみた時にすばらしくて長塚さん演じる主人公が魅力的で、表現力に感動しました」と感銘を受けた様子。瀧内も「大先輩で本当に紳士ですてきで。撮影の最終日は、明日になったら会えなくなっちゃうんだと思って涙が出てしまった」と明かした。
本作タイトルにちなみ、自身の敵について聞かれると、河合は「“怠惰な心”です。優先すべきことにたどり着けないんです…」と告白。長塚は「“わがままなわたし”です。なのでこれからは、他人にも自分にも優しく生きていきたい」と誓っていた。