来季J2に降格するジュビロ磐田は11日、スポーツ報知既報通り、横内昭展監督(57)の今季限りでの辞任を発表した。昨オフ、チームの約半数となる15人の新加入を迎えながら、目標に掲げた勝ち点40に届かない同38の18位で終戦。総失点はリーグワーストに並ぶ68と不安定さを最後まで改善できず、1年でJ2に逆戻りとなった。苦しみ続けた1年間を総括する。
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昨年、劇的な昇格に導いた指揮官が志半ばでジュビロに別れを告げる。横内監督はこの日、磐田市内の事務所を訪問しスタッフらにあいさつ。「目標に達することができなかったが、選手はみなよく頑張ってくれた」と感謝を述べた。
理想と現実のギャップに苦しんだ1年だった。1月の新体制会見、指揮官は「まず勝ち点40を目標にしたい」と掲げたが、その“現実的”数字にすら届かなかった。始動時の新加入は15人。チームの約半数が入れ替わった。藤田俊哉SD(53)は「昨年よりスケールアップして結果が出せる補強」と話したが、J1からの加入はGK坪井とMF中村だけ。15人中30試合以上に出場したのは4人で、そのうち先発で30試合を超えたのはGK川島と大卒新人のMF植村にとどまり、助っ人勢も含め効果的な補強とは言えなかった。
横内監督は「ボールを大事にしながら、全員が守備にも攻撃にも関わっていく」スタイルを目指した。だが「攻め残りしている選手もいるし、やりたいサッカーに対する人選が正しかったのか」と首をかしげる選手もいた。また23年のJ2ベストイレブンで争奪戦の末熊本から獲得したMF平川が本来の中央ではなくサイドで起用されるなど、適材適所ではない配置で持ち味を発揮し切れないケースもあった。
補強が凍結されていた昨季は全選手が公式戦に出場し総力戦で昇格したが今季前半戦はメンバーを固定。負けが込んでも同じ選手が出場を続けることでチームを活性化させる競争意識は薄れた。シーズン終盤、MF藤川らが抜てきされ奮起したが時すでに遅し。3バックに布陣変更しても失点癖は改善できなかった。
過去3度の降格時はシーズン途中で監督が交代した。今季はブレずに横内体制を貫き、チームが一丸となっていたことは間違いないが、J1の高い壁を乗り越えるだけの力は付いてこなかった。新監督を迎える来季のチームづくりはまた一から。名門再建への道筋は簡単には見えてこない。
(武藤 瑞基)
〇…藤田SDはこの日、ヤマハスタジアムで報道陣に対応。新監督について「可能な限り早く。1週間以内には決めたい」と交渉を急ぐ考えを示した。現時点で3~5人をリストアップ。日本人か外国人か、磐田OBであるかにはこだわっていないことを明かし「どういうフットボールができるか見定めていく」と強調した。選手編成についてはクラブ主導で進めていくという。
磐田・鈴木海音(この日は県庁でパリ五輪の表彰式に出席)「横内監督には2年間お世話になりました。降格の悔しさはピッチで晴らすしかない。またJ1に上がった時、成長してJ1で戦える選手にならないといけない」