9日の現役ドラフトで日本ハムから巨人に移籍した田中瑛斗投手(25)が12日、東京・大手町の球団事務所で入団会見に臨んだ。背番号は「45」。明るい愛されキャラの右腕だが、新天地では「まずは野球で知ってもらいたい」と“盛り上げ役封印”の構え。強力投手陣に食い込み、1年間ローテを守って2ケタ勝利を挙げる意欲を口にした。
やや緊張の面持ちながら、田中瑛の決意はハッキリとしていた。巨人の球団旗を背に臨んだ、新天地での入団会見。「もう一回ルーキーのような気持ちで、がむしゃらに。心機一転、日本一になれるように頑張りたい」と言葉を紡いだ。「ジャイアンツでは野球に専念したい」と盛り上げ役を封印する考えも明かした。
日本ハムではファン感謝イベントで2年連続「清宮フレンズ」としてファイターズガールの衣装を着て女装で踊るなど、普段の度胸満点のマウンドさばきとのギャップでファンを沸かせる一面もあった。ただ「もともと、そういうことをするタイプじゃないんですよ(笑)」と明かし、「まずは野球で知ってもらいたい。そういうところ(盛り上げ)が先行していると思うので。野球の結果でジャイアンツのファンの方々に顔を覚えてもらえるように」とプレーで存在感を発揮する意欲十分だ。
今季は3登板だったが、150キロ超の直球に多彩な変化球を操り、左右問わず内角を突ける強みを持つ。巨人のチーム防御率は今季12球団トップ2・49。「球界トップレベルの投手陣。そこに加わることは厳しいことですが、その分やりがいを感じます。任されたポジションで力を出したい」。2年間未勝利ながら、ポテンシャルの高さを買われ、先発候補としても期待される。「1年間ローテーションを回り切って、2ケタ勝ちたい」と自身の名前「エイト」を超す10勝を見据える。メジャー挑戦する菅野の穴を埋める一人として稼働すれば、大きい。
同席した水野編成本部長代理スカウト担当兼スカウト部長は「一つの1軍のピースにハマってくれるんじゃないかという評価。先発でも中継ぎでも期待に応えてほしい」と説明した。背番号は阪神に移籍する畠のつけていた「45」。チームは優勝旅行中で、「そこに来年に加われるように」と意気込んだ。新たな環境に身を置き、プロ8年目でのブレイクを果たす。(田中 哲)
◆エイトに聞く
―入団が決まり心境は。
「伝統ある球団に指名していただいて光栄。ファイターズで結果を出せなかったことはファンの方々や球団関係者に申し訳ない」
―現役ドラフト経験者の活躍は刺激になるか。
「去年ファイターズから同級生の長谷川(威展)がソフトバンクに行って活躍している姿を見て、僕も最低、長谷川ぐらいの活躍はしたい【注】」
―巨人で連絡を取った人は。
「高校(柳ケ浦)の先輩の脇谷さん(2軍内野守備兼走塁コーチ)。郡選手、矢野さん(2軍打撃チーフコーチ)にも。脇谷さんからは『最初は不安だと思うし、新しいチームで友達も少なくて不安だろうけど、気にしなくていい』と心強い言葉をいただきました」
―日本ハムを離れる際にもらったメッセージは。
「同期の(清宮)幸太郎とか。宮西さんから『応援しているから』と宮西さんらしい言葉をかけてもらったことは一番覚えています」
【注】長谷川は今季、32試合で4勝6ホールド、防御率2・49。
◆田中 瑛斗(たなか・えいと)1999年7月13日、大分・中津市生まれ。25歳。小楠小2年で野球を始め、中津中では軟式野球部で主に遊撃手。柳ケ浦では2年秋からエース。2017年ドラフト3位で日本ハム入団。21年オフに育成で再契約。22年7月に支配下に復帰。184センチ、84キロ。右投左打。来季年俸は750万円。