第101回箱根駅伝(来年1月2、3日)に18年連続26回目出場の帝京大が12日、東京・八王子市のキャンパス内で会見を行った。箱根では初めて登録メンバー入りを果たした山口翔平(3年)が「支えてくれた人たちに、恩返しがしたい」と意気込んだ。大リーグ・ドジャースの大谷翔平投手(30)と同名の元野球少年は、帝京大にとって鬼門の6区を希望し「終盤の粘りを見てほしい」と決意を語った。チーム目標の3位へ山場で、“SHO TIME”を演じて貢献する。
ファイヤーレッドの「翔平」が、夢の箱根路出走のチャンスを得た。3年目で自身初の登録メンバー入り。学生3大駅伝初出場へ向け「メンバーに入れなかった選手の気持ちもある。チームの目標を達成できる走りをしたい」と仲間への思いを胸に意気込みを語った。
今年、大リーグのナ・リーグでMVPを獲得した大谷と同じ「翔平」だ。「そんなに意識はしていない」とはにかむが、中学3年間は野球部で遊撃手。パ・リーグの推しチームは「見ていて楽しい」という日本ハムでもあった。中学時代、英会話教室の取り組みの一環で、米メリーランド州にホームステイした際に大リーグ観戦するなど野球好きで、今もバッティングセンターに通うという。大谷のプロ入り後から、名前の認知度上昇も実感する。「翔平という名前に、誇りが持てます」と笑顔でうなずく。
箱根は憧れの舞台だ。小学1年時、駅伝好きの家族とともにテレビ観戦。「漠然と、出たいな」と思いを抱いた。山口・西京高から本格的に陸上を始め、3年時には3000メートル障害で全国3位。幼少期の思いのまま、箱根常連校の帝京大の門をたたき、長距離にシフトした。地道な練習を重ねて3年でメンバー入り。中野孝行監督(61)も「彼は本当に諦めない」と認める姿勢が実を結んだ。
教員免許も持つ。将来は、留学経験を生かし「発展途上国などで、教育や陸上も教えられたら」と“本家”同様、海外での活躍も見据えている。箱根本番に向けては「武器のスピードを生かすのは下り」と山下りの6区を想定して準備を重ねる。6区は帝京大が過去5年連続区間2ケタ順位の鬼門でもある。「チームの過去最高順位(00、13、20年の4位超え)に貢献したい。支えてくれた人たちに、テレビに映って頑張っているな、と思ってもらえる走りがしたい」。感謝を胸に、お茶の間に“翔タイム”を届ける。(大谷 翔太)
◆山口 翔平(やまぐち・しょうへい)2003年8月19日、山口市出身。21歳。山口・湯田中時代は野球部で遊撃手。西京高から本格的に陸上を始める。3年時の全国高校総体で3000メートル障害3位。帝京大入学後、1年時の日本学生陸上個人選手権の同種目で3位。自己ベストは5000メートル14分9秒47、1万メートル29分3秒62、ハーフマラソン1時間5分36秒。182センチ、62キロ。