広島から海外FA権を行使してオリックスへの移籍を決めた九里亜蓮投手(33)が電撃合意の発表から一夜明けた13日、マツダ内で取材に応じ、「環境を変えて一から新しい場所で挑戦しようと思った」と決断理由を明かした。「たくさん悩んだ」と苦渋もにじませながら、新天地での活躍を誓った。
数年前から「夢」として抱いていたメジャー挑戦ではなく、パ・リーグでのプレーを選んだ。「どんな決断にしても12月中には決めたいと思っていた」と、米挑戦は11月末に断念したという。オリックスはかつての同僚・西川、同学年で親交のある杉本が在籍。加えて愛妻も大阪出身と、環境面でも申し分なかった。11年を過ごした広島での一番の思い出には、本拠地でリーグ3連覇を決めた18年9月26日のヤクルト戦での8回無失点を挙げた。
常に中4日の登板もいとわず、直近5年は平均で145回2/3。一方のオリックスは今季、規定投球回到達者が一人もいなかった。「今、なかなか200イニングを投げる投手がいない。達成したい思いもある」。DH制で代打を送られることがないパ・リーグで、タフネスぶりを存分に発揮する。(畑中 祐司)
〇…広島・大瀬良が、13年ドラフト1、2位の同期・九里に惜別メッセージを送った。この日、マツダを訪れ、「『ありがとう』という感じで握手して『頑張って』と。そんな感じです」とやりとり。「切磋琢磨(せっさたくま)して、いろいろ学べたり成長できた」存在だったという。来季は交流戦で投げ合う可能性もあり、「負けたら、カープファンにめちゃくちゃ怒られる(笑)。僕もしっかり頑張らないと」と、笑顔で送り出した。