全日本プロレスの年末恒例「世界最強タッグ決定リーグ戦」の優勝決定戦が8日、後楽園ホールで行われ、世界タッグ王者の“斉藤ブラザーズ”斉藤ジュン、斉藤レイ(ともに37)が初優勝を飾った。
A、B両ブロック各7チームによるリーグ戦の1位、2位チームが優勝チーム決定トーナメントを戦い、Aブロックで全勝1位通過の斉藤ブラザーズは準決勝で、Bブロック2位の本田竜輝、綾部蓮組を、決勝でBブロック1位の宮原健斗、三冠ヘビー級王者・デイビーボーイ・スミスJr.組を連破し、完全優勝となった。世界タッグ王者の全勝優勝は、史上初の快挙となった。
序盤は場外乱戦となる大荒れの優勝決定戦は、4人が真っ向から技をぶつける白熱の展開となった。超満員札止め1517人の客席が沸騰する激戦は、23分17秒、兄・ジュンがサイコブレイクで宮原をフォールし初優勝を飾った。リング上でマイクを持った2人は「俺たちが勝ったぜ。全勝優勝だ。俺たちがナンバーワンだ!」と歓喜の雄たけびを上げた。
全勝Vを祈願しリーグ戦の途中からジュンは、大好物の「甘い物」、レイはトレードマークのひげをそり、「ビール」をそれぞれ断っていた。公約通りの優勝でリング上でレイが缶ビール(サッポロ黒ラベル)、ジュンがいちご豆大福を手に“乾杯”した。ビールを胃袋に流し込んだレイは「うまいぜ! 熱い体にキンキンに冷えたビールが染み渡るぜ」と満面の笑みを浮かべると、ジュンも「おいしい。とにかくおいしい」としみじみと感慨に浸った。
リング上でマイクを持ったジュンは「オレは今年の最強タッグ、全勝優勝したらどうしてもやりたいことがあった」と切り出すと、三冠王者・スミスJr.をリングに呼び込んだ。
「大みそかの代々木大会でこのオレ斉藤ジュンに三冠ベルト挑戦させろ」と挑戦を要求。スミスJr.が挑戦を受けるか否かをファンに聞くと、大きな拍手がわき起こり「全日本プロレスのファンはYES。オレもYESだ」と受け止めるとジュンは「というわけで決まったな」と確信。スミスJr.は、兄弟と握手を交わしリングを去り、大みそかの代々木第二体育館大会でジュンの三冠挑戦が決定した。
至福のエンディングに客席から「ゼンニッポン!」コールが発生。レイは「全日本プロレスはまだまだここからどんどん面白くなるからみんな楽しみにしててくれ!」と呼びかけ、最後は兄弟の写真集のタイトルにもなった決めぜりふ「DOOM!」を観客と共に合唱し締めくくった。(福留 崇広)
◆斉藤ブラザーズ 兄・ジュン、弟・レイともに1986年12月19日、宮城・角田市生まれの双子。37歳。高校・大学時代は父の母国である米国で過ごした。大相撲出羽海部屋出身で、ジュンは元幕下・藤の海、レイは元三段目・藤の花。20年に全日本プロレスに入門し、21年6月9日、後楽園ホールで兄弟タッグでデビュー(大森隆男、本田竜輝組に敗戦)。23年10月9日、角田市大会で宮原健斗、青柳優馬組から世界タッグ王座奪取。兄は193センチ、115キロ、弟は192センチ、150キロ。