◇引退試合 ベガルタ仙台レジェンズ4-4梁勇基フレンズ(14日・ユアスタ)
現役生活20年、ベガルタ仙台では18年間プレーしJ1通算297試合29得点、J2通算280試合47得点を決め、昨季限りで現役引退した梁勇基さん(42、現クラブコーディネーター)の引退試合がユアスタで行われた。東日本大震災直後の2011年から13年にかけてJ1でチーム最高順位の2位(12年)となる輝かしい成績を残した「ベガルタ仙台レジェンズ」と、友人たちが集まった「梁勇基フレンズ」のチームに分かれ対戦。試合は4―4で引き分けた。梁さんが両チーム合わせて4得点を奪う活躍を見せた。
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雪が舞うユアスタのピッチで、梁勇基さんが背番号と同じ「10」度宙に舞った。1万1086人が駆け付けたサポーターからは全員が肩を組み、左右に往復して会場を揺らす“リャンダンス”が何度も送られた。「ピッチから左右に揺れる姿で本当にたくさん励まされた。苦しいシーンや体力的につらい時間帯でも本当に勇気を頂いた。すごくいろんな記憶がよみがえる瞬間で、改めて感謝の気持ちでいっぱいです」。仙台の顔として18年間プレーし、背番号「10」を背負ってきたレジェンドは涙を流しながらピッチを去った。
前半は黄金のユニホームを身にまとうレジェンズの一員として出場。引退試合とは思えぬガチンコプレーが繰り広げられ、GKの活躍もあり試合は膠着(こうちゃく)。「キーパー出身の選手はやられたくないという本能が働いた。あれでテンションが一段上がって、盛り上げていただいた」。だが、0―0の同45分にペナルティーエリア手前中央でボールを受けた梁さんが相手DFを1人かわしシュート。ゴール右に吸い込まれる先制点に、ベンチメンバー総動員で歓喜の輪が広がった。
後半は赤のユニホームを着用し、フレンズとしてプレー。1―1の同24分にはレジェンズがPKを獲得すると梁さんが上半身だけユニホームを変更し、レジェンズとしてキッカーを務め、PKを沈めた。フレンズに戻った同37分にはハットトリックを達成。同アディショナルタイムには西村主審が判断したVARから、やり直しになったフリーキックで4点目を決めて試合終了。「最後は決めてくださいというシチュエーションで決めることができて、すごく思い出に残る試合になった」と笑顔で振り返った。
現在はクラブコーディネーターとして様々なイベントに出演し、チームを盛り上げている。J1昇格を目指す選手たちに向けては「このクラブ、スタジアム、サポーターをもっと好きになって長くプレーしてもらいたい」と、長くサポーターに愛された男が後輩たちに思いを託した。
(山崎 賢人)