巨人が楽天を自由契約になった田中将大投手(36)を獲得することが15日、分かった。日米通算197勝右腕は今季1軍では1登板で未勝利に終わったが、球団は復活できると判断して本格調査。ハワイ優勝旅行中の阿部慎之助監督(45)も加入を熱望していた中で、関係者によると本人が入団の意思を固めたという。今季15勝を挙げ、来季は海外FAでメジャーに挑戦する菅野が抜ける投手陣に、新風を吹かせる存在として期待がかかる。
前中日の守護神、ライデル・マルティネスに続き、巨人がさらなる大補強に動いた。前楽天の田中将大を獲得することが判明した。関係者によると、すでに巨人入団の意思を固めているという。日米通算200勝まであと3勝に迫る超ビッグネームが電撃加入する。
昨年10月に受けた右肘手術の影響もあり、日米通算18年目の今季は1軍で1登板に終わったが、シーズン終盤の2軍戦で徐々に本来の速球の力強さを取り戻して着実に前進していた。11月24日に楽天退団が発表され、12月から交渉解禁。巨人は動向を注視しながら本格的な調査を進めてきた。
ハワイで優勝旅行に参加中の阿部監督も、以前から獲得を熱望していた。「智之が抜けるとピッチャーのチームリーダーみたいな存在がいなくなる。実績があるから。うちは若い投手が多いし、そういう面でも必要なのかな」と入団が実現すればメジャー挑戦する菅野に代わる支柱になれるとみていた。さらに「(好調時に)たぶん戻ると思う」と復活に太鼓判を押していた。09年WBCでバッテリーを組んだこともある右腕への期待は高い。
巨人と田中将で思い出されるのは13年の日本シリーズ。シーズン24勝0敗と異次元の成績で楽天を初優勝に導いた田中将は、本拠地・Kスタ宮城での第2戦に先発し、ルーキー菅野と投げ合って1失点完投勝利した。再び菅野と投げ合った本拠地での第6戦は敗戦投手も9回160球4失点完投。翌日の第7戦で9回に登板し、連投で抑えを務めて胴上げ投手になった。
その後はヤンキースで6年連続2ケタ勝利を挙げるなどメジャー通算78勝。楽天復帰後は試行錯誤しながら奮闘してきた。来季の巨人は戸郷、山崎伊らに次ぐ先発投手の台頭、今季15勝の菅野の穴をどう埋めるかが課題。ロッテにFA移籍が決まったソフトバンク・石川の獲得レースに参戦したように先発は補強ポイントで、田中将はローテ候補に挙がる。
巨人には同い年の盟友・坂本勇人がいる。小学生時代、少年野球の兵庫・昆陽里(こやのさと)タイガースでチームメート。当時は投手・坂本、捕手・田中将だった。坂本は光星学院を経て巨人で現在、通算2415安打。田中将は駒大苫小牧3年夏の甲子園決勝で斎藤佑樹擁する早実と伝説の引き分け再試合に敗れた経験を糧に超一流に成長した。
巨人にマー君が来る。幼なじみの坂本と再び同じユニホームを着る。運命的な2人の“再会”が来季の阿部巨人の推進力になる。
◆巨人在籍時の通算200勝 巨人在籍時に通算200勝を達成したのは54年別所毅彦(通算310勝)、55年※中尾碩志(同209勝)、55年藤本英雄(同200勝)、80年堀内恒夫(同203勝)、04年※工藤公康(同224勝)の5人。そのうち巨人だけで200勝以上したのは別所(221勝)、※中尾(209勝)、堀内(203勝)の3人だけ。(※は左腕)
◆田中 将大(たなか・まさひろ)1988年11月1日、兵庫県出身。36歳。駒大苫小牧で甲子園に3度出場し、2年夏に優勝、3年夏に準優勝。2006年高校生ドラフト1巡目で楽天入団。13年にはプロ野球新の開幕24連勝(無敗)で球団史上初のリーグ優勝、日本一に貢献した。同年オフにポスティングシステムでヤンキースに移籍し、21年から楽天に復帰。NPBでの主なタイトル・表彰はMVP、沢村賞2度、最多勝2度など。188センチ、97キロ。右投右打。