巨人から海外FA権を行使してメジャー移籍を目指していた菅野智之投手(35)が16日(日本時間17日)、オリオールズと契約合意した。米メディアによると、年俸1300万ドル(約20億円)の1年契約。今季15勝と完全復活し、MVPにも輝いた通算136勝右腕。熟考を重ねて残留を決断した20年オフから4年。長らく「巨人のエース」を務めた男がついに海を渡る。
菅野の新天地はオリオールズに決まった。日本時間午前9時30分。球団は公式Xで「菅野智之投手、オリオールズへようこそ!」と日本語で歓迎した。米スポーツ専門局「ESPN」のJ・パッサン記者によると、1年契約で、年俸1300万ドル(約20億円)だという。
「NPBエース」とも言われる右腕の移籍は米国内でも「SUGANO」がXでトレンド入り。今オフに入り、「最も注目される国際選手の一人」と報じていた「CBSスポーツ」は「オリオールズにさらなる厚みと潜在的価値をもたらす」と報道。MLB公式サイトも「卓越したコントロールで知られる」と特集を展開した。イエリチ(ブルワーズ)、アレナド(現カージナルス)らスター選手が並ぶ打線を菅野が6回3安打1失点(自責0)と制圧した17年WBC準決勝の日本―米国戦の映像を振り返り、「最高の打者を圧倒してきた」と紹介した。
菅野を巡ってはエンゼルスやジャイアンツなどが興味を示していると伝えられ、パドレスも検討しているとされてきた。自己最悪の4勝だった昨季から一転、今季は24試合で15勝3敗、防御率1・67と完全復活し、最多勝と最高勝率の2冠。巨人をリーグ優勝に導き、4年ぶり3度目のMVPに輝いた。ポスティングシステムによるメジャー移籍を目指した20年オフには熟考を重ねて残留したが、夢へのスタート地点に立った。
オリオールズは過去にワールドシリーズを3度制覇。今季は91勝71敗でヤンキースに次ぐ2位でポストシーズンに進出したが、ワイルドカードシリーズでロイヤルズに2連敗して敗退していた。先発陣は15勝をマークしたバーンズがFAで退団する可能性が高まっており、補強は急務。来季は25歳右腕・ロドリゲス、シーズン途中加入し5勝を挙げたエフリンと、経験豊富な菅野には“3本柱”としてエース格の期待もかかる。
今月3日には例年より早くハワイへ出発。「早めに自主トレしながらというイメージです」と説明。優勝旅行で当地入りした巨人ナインとゴルフなどを楽しんでいた。チームカラーが巨人と同じオレンジのオリオールズはファンもなじみやすいだろう。円熟味を増したオールドルーキーが野球の本場でも躍動する。
◆菅野 智之(すがの・ともゆき)1989年10月11日、神奈川・相模原市生まれ。35歳。東海大相模、東海大を経て2011年ドラフトで1位指名された日本ハムに入団せず、12年ドラフト1位で巨人入り。最多勝4度、最優秀防御率4度、最多奪三振2度、最高勝率2度。14、20、24年MVP。17年から2年連続沢村賞。ベストナイン5度、ゴールデン・グラブ賞5度。17年WBC日本代表。186センチ、95キロ。右投右打。