ロッテの次期主砲候補・山口航輝外野手(24)が、苦しみ続けた1年間だった。7月11日、イースタン・日本ハム戦が行われたロッテ浦和球場。そこには「『僕なんか必要ない』と毎日毎日思いますよ」と、卑屈になる山口の姿があった。時期的にも不調のピークだった。約15分、嫌な顔を一切せずに胸の内を明かしてくれた。
「野球のことでここまで、『どうしたらいいんやろう』みたいな感じは今までない。ドツボにハマってる感じです」
広角に打てる強打者へ―。今春は逆方向への強い打球をテーマに意識改革。だが開幕から36試合で打率2割1分6厘、2本塁打、11打点。吉井監督も「考える時間を与える。修行です」と、5月18日に抹消。そこから約2か月間は2軍生活を余儀なくされた。
「打席に立っていて気持ち悪い感覚というか。考えすぎてパニックになってる部分も正直ある。自分と戦ってイライラするし、葛藤してます」
2軍では「練習量が足りない」と毎日、試合前後のティー打撃などで、バットを振り続けた。それでも手応えを感じられず、苦悩の日々。7月19日に昇格したが、その後は1、2軍を行き来し、9月7日の抹消を最後にシーズンが終了。いずれも自己ワーストとなる51試合、打率2割、2本塁打、13打点で、自身初の減俸となる800万円減の3500万円(金額は推定)で更改した。
今季3位のチームは長打力不足が課題。今季75本塁打はリーグ3位だが、ソトが21本、ポランコが23本と半数以上は助っ人頼みだ。22年に16発の山口には、長距離砲としての成長が求められる。今季を表す漢字に「苦」と挙げた24歳。今オフは宮崎で自身初の単身自主トレも敢行する。「自分の現状を打破したい。1本でも、1打点でも多く、今年の分もチームに貢献したい」。どん底に落ちたが、あとは上がるだけ。来季の大暴れを見たい。(ロッテ担当・竹内 夏紀)