大相撲で18日に現役を引退した元小結・阿武咲が19日、東京・両国国技館で師匠の阿武松親方(元幕内・大道)同席のもと、引退会見を行った。
青森・中泊町出身の阿武咲は、三本木農高(現三本木農恵拓高)1年で国体少年を制し、同高を中退して先代師匠(元関脇・益荒雄)の下に入門。2013年初場所の初土俵から約12年の力士人生だった。「今はスッキリした気持ちでいっぱいです。ケガをして年々自分の相撲が取れなくなってきて、その都度相撲を工夫をしながら今までやってきましたが、そういう相撲を取れなくなってしまって、いろいろ考えた上で引退を決断しました」と理由を説明した。
思い出の一番には、23年初場所13日目の優勝を争った大関・貴景勝(現湊川親方)との一番を挙げた。「結果としては負けましたけれど、自分は全てを出しましたし、何より昔から知っている間柄で最高峰の舞台で優勝争いをしている。そこが自分の中で特別で、勝敗よりもうれしかった」とライバルとの一戦を回顧した。
改めて貴景勝の存在について問われると、「同じ時代を生きれて良かった。同級生で相手が貴景勝関で本当に良かったなと思います」と思いを語った。引退発表前には連絡を入れ「今まではお互い現役中だったので、自分は意識するところがありましたし、あまり素直な気持ちが言えなかったですけれど、『本当にありがとうと。同じ時代に生きれて良かった』と言えて良かったですね」と語った。湊川親方からは「俺ら頑張ったよな」と返答があったといい「うれしかったですね」と大粒の涙をこぼしながら話した。
今後は角界には残らず、馬油などを扱うスキンケア用品の世界に進むという。「自分自身肌が弱くて、何を使ってもダメな中で馬油で全て解決した。ずっと愛用させていただいているものだったので、たくさんの方々が支えてくださったので、逆に自分が誰かの力になれれば」と語った。