◇全国高校柔道選手権北海道大会 第1日(19日、札幌・北海きたえーる)
男女の個人戦を行い、北海が女子で史上初の5階級完全制覇を達成した。5階級のうち4階級が北海同士の決勝対決となり、57キロ級は林音芭(2年)が連覇。48キロ級は青木美稀琉(1年)、52キロ級は山内梨緒(2年)、63キロ級は池田愛莉(2年)、無差別級は及川まゆ(2年)が初優勝した。優勝者は来年3月19~20日の全国大会(東京・日本武道館)に出場する。
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無差別級の及川が北海の全階級制覇を締めくくった。体落としで一本勝ちした初戦から勢いに乗って2回戦、準決勝を勝利。坂本天海(2年)との“同門対決”となった決勝では、相手の低い背負い投げをかわしながら内股、肩車で攻め続け、ゴールデンスコアで相手に指導が入り勝ち切った。
チームでは及川が副主将で坂本が主将。普段は仲良しだが、練習では「互いにバチバチやってきた」と切磋琢磨(せっさたくま)してきた。「絶対に決勝で戦おう」と約束した通りに勝ち上がった2人は、最後の力を振り絞って火花を散らし、同校の新たな歴史の一ページを飾った。
小樽菁園中では63キロ級で活躍。全道を制し、全国中学では16強に進んだ。北海では無差別級で戦うパワーをつけるため増量に着手。朝・昼・夜の食事の他にもおにぎり4~5個、ラーメンなどを“フードファイター”のように詰め込み、身長は164センチ、体重は17キロ増の80キロに成長した。
「“女子力”はないけど、柔道では絶対に勝ってやる」と闘志を燃やす及川は、7連覇が懸かる20日の団体戦も大将として出陣。個人戦を総なめにした個性豊かなメンバーたちは、結束を強めてパーフェクトVをつかみ取り、目標の「日本一」へと突き進む。(石井 睦)
〇…女子52キロ級決勝は、山内が前年覇者の今地理乃(札幌日大)に上四方固めで一本勝ち。「最近力を入れてきた」という足技からの展開で仕留めた。昨年10月に右膝前十字じん帯断裂の重傷を負い、前回大会はスタンド応援。手術、入院で練習再開まで3か月を要し、この夏から戦列復帰した。函館五稜郭中時代に全国5位の実績もある山内は「本番はここから。日本一が目標です」と悔しさも力に変えていく。
〇…女子57キロ級決勝で、林の「隠し技」がさく裂した。相手は互いに手の内を知るチームメートの山崎優里。普段の練習では見せなかった逆構えでの肩車でゴールデンスコアの激闘を制した。秋田県の男鹿東中から入学し、部内で唯一の特進コース在籍。将来は開業医の祖父を継ぐため、国立医大を目指している。「これからの1年が柔道ラストシーズン。しっかりやり遂げたい」と勉強と両立しながら完全燃焼を目指す。
☆女子63キロ級優勝・池田(決勝で後輩を下し初優勝)「1か月前に(柔道選手だった)父(賢治さん)から『武道館に連れて行って』とLINEが届いていた。絶対負けられないと」
☆女子48キロ級優勝・青木(神奈川・東橘中から今春入学)「昨年のインターハイで優勝した横地(萌恵)さんを見て、北海なら強くなれると思った。全員で優勝を、と話してました」
【男子】▽60キロ級 〈1〉浜野彩人(北海)〈2〉山田心(東海大札幌)〈3〉小沢晴人(札幌山の手)、小林巧(北海)▽66キロ級 〈1〉秋山龍信(北海)〈2〉遠田滉(北海)〈3〉長崎遥真(東海大札幌)、久末輝道(東海大札幌)▽73キロ級 〈1〉夏坂匠平(北海)〈2〉柳沢久善(東海大札幌)〈3〉大城源志(白樺学園)、鎌田琉太朗(東海大札幌)▽81キロ級 〈1〉浅川琥月(東海大札幌)〈2〉河西槻和(恵庭南)〈3〉山村哲平(東海大札幌)、南奏汰(北海)▽無差別級 〈1〉吉野隼人(東海大札幌)〈2〉葛西樹生(旭川龍谷)〈3〉佐藤幻乃助(東海大札幌)、佐藤楓(東海大札幌)
【女子】▽48キロ級 〈1〉青木美稀琉(北海)〈2〉佐々木稟琉(北海)〈3〉坂沢有紀(北海)、高橋希佳(北海)▽52キロ級 〈1〉山内梨緒(北海)〈2〉今地理乃(札幌日大)〈3〉広瀬桃(札幌山の手)、向井世奈(北海)▽57キロ級 〈1〉林音芭(北海)〈2〉山崎優里(北海)〈3〉宮北芽衣(札幌日大)、斉藤結奈(恵庭南)▽63キロ級 〈1〉池田愛莉(北海)〈2〉伊藤潤雅(北海)〈3〉浦川雪菜(東海大札幌)、熊谷栞(北海)▽無差別級 〈1〉及川まゆ(北海)〈2〉坂本天海(北海)〈3〉長谷川祥嘉(旭川明成)、広田芽依(北海)