◆レスリング◇全日本選手権 第2日(20日、東京・代々木第二体育館)
女子62キロ級で元木日陽里(育英大)が3位に入った。今夏パリ五輪女子62キロ級金メダルリストの元木咲良(育英大助手)を姉に持つ19歳は、準決勝で竹元紫凛(京都・丹後緑風高)に2―7に敗れたが、3位決定戦で菱沼綾南(安部学院高)と対戦。終盤に追い上げられたが、6―5で振り切った。
今年1月の練習中、右膝の前十字靱帯(じんたい)を断裂した。当初は姉のスパーリングパートナーでパリ五輪に同行する予定だったが、練習相手を務められない状況であることを踏まえて辞退した。大会前は育英大の柳川美磨監督の提案で姉と2人で暮らし、メンタル面をサポートしてきたが、本番は日本からテレビで観戦した。
姉からは帰国後、「日陽里のおかげでメダル取れたよ」と声をかけられたという。「姉はやっぱりすごい偉大な人」と喜びを語った一方、「パリで応援できなかったというのも、ちょっと悔しい気持ちはある」と複雑な心境ものぞかせた。
けがからの復帰過程は組み手の強化などに取り組み、10月に本格的な練習を再開した。姉もスパーリング相手を務め、昨年12月の全日本選手権以来、1年ぶりの実戦となった今大会はセコンドとしてサポート。全日本選手権で初の表彰台に立ったが、試合内容には「1年のブランクがあったけど、自分のやりたいことを出し切ることができなかった。悔しい気持ち」と満足していない。
今後も世界を目指し、姉と同じ62キロ級で勝負していく。次戦の来年4月のJOC杯ジュニアクイーンズカップは姉も五輪後初の実戦出場を予定しており、2人で「そこで戦えたらいいね」と話しているという。「姉も前十字じん帯とか脱臼とか、いろいろとけがをしたところから自分のやりたいことをひたすら練習して、オリンピックの金メダルまでたどり着いた。すごいなと。自分もそこまでできるようになりたい」と28年ロサンゼルス五輪を見据えた。