来年3月の大相撲春場所での復帰を目指す幕下・朝乃山(高砂)が21日、東京・墨田区にある高砂部屋でぶつかり稽古を行った。元大関は幕下以下が着ける黒まわし姿で四股。すり足を入念に行うと、ぶつかり稽古でも胸を出した。最後には約110キロの弟弟子を押した。「まだ(相手は)軽いけれど、これからできればいい。負荷はかけられない」と慎重さも口にした。
7月の名古屋場所で左膝前十字靱帯(じんたい)断裂などの大けがで手術。九州場所で幕下に転落したが、地道にリハビリに励んできた。今週から左足にプロテクターをつけてぶつかり稽古など再開したという。「できればプロテクターなしでやりたいけれど、やっと力士に胸を出せるようになった。少しずつですね」と、うなずいた。
18日には元小結の阿武咲(阿武松)がケガの影響で引退を発表。寂しさを明かしつつ、「ニュースで見たら戦える体でなくなったと言っていた。でも自分はケガで(土俵に)戻れないまま辞めたくない」。来年の初場所は休場やむなしだと明かし、復帰予定の春場所は、6場所出場停止から復帰した22年名古屋場所以来の三段目転落が避けられそうにない。幕内経験者が三段目以下に2度陥落して再入幕した例はないが、「ここまで来たら自分の気持ち次第。でも気持ちは折れていない。また幕内で戦いたい」と強い意志を見せた。
24年については、悔しさをにじませた。今年について聞かれると「最悪でした。3月の春場所しか皆勤できず、あとは休場してしまった」と唇をかんだ。再起をかける来年へ「(部屋の)下の子たちも活気づいて成績が上がっている。自分も負けないようにしたい」。先場所には弟弟子の朝紅龍が新入幕を果たし、長内が幕下優勝。元大関として、このまま終わるわけにはいかない。