プロリーグ4シーズン目となるリーグワンが開幕した。3季ぶりの優勝を目指す埼玉(旧パナソニック)は、昨季3位の東京SG(旧サントリー)に33―12で勝利し、新シーズンを白星で発進した。日本代表のWTB長田(おさだ)智希(25)が、前半22分に今季チーム初トライを挙げるなど、2トライで勝利の立役者となった。直近2年はプレーオフ決勝で敗れ、連続準優勝と悔しさを味わってきた埼玉を、成長著しい異色の社員選手が王座奪還へとけん引する。
リーグワン初代王者が新シーズンを好内容でスタートした。今季チーム初トライを挙げて試合の流れをつくった長田は「チームとして80分間、クオリティーや精度の高いラグビーができたことが良かった」とすがすがしい表情を浮かべた。埼玉は鋭いタックルを連発し、持ち前の堅守で相手に一度もリードを許さず。「ディフェンスで我慢できたことが良かった」と長所を生かしてゲームプラン通りの快勝。王座奪還へ向けて、上々の滑り出しを切った。
3―0の前半22分、NO8コーネルセンのゲインから敵陣22メートル付近で長田にパス。加速し、埼玉の今季初トライを奪った。同38分は本領発揮。左の相手インゴール手前でロングパスをもらい、相手のタックルを強じんな足腰ではじき飛ばして連続トライ。前半からチームを勢いづけたが「個人として、ハイボールやタックルのミスがあった。課題は多い」と満足はしていない。
3季ぶりの王座奪還に挑む今季は、元日本代表のフッカー堀江翔太氏(38)、SH内田啓介氏(32)らが引退し、日本代表SO松田力也(30)がトヨタへ移籍して迎えた。パナソニックグループに在籍する異色の社員選手・長田は、10人弱で構成されるチームの「コアグループ」リーダー格の一人として、チームをけん引する役割を担う。11月の日本代表の欧州遠征から帰国した翌日、時差ボケで午前3時に起きて同5時にクラブハウスへ。「寝られないので『じゃ、トレーニングするか』と」。日頃から姿勢で見せ、この日は結果でもけん引した。
2月の負傷後、実戦から遠ざかっていた大黒柱・プロップの稲垣も先発。長田も「チームに対する貢献度がすごく高い。(存在感が)大きいと思った」と尊敬のまなざしを向けた。シーズンはまだ始まったばかり。「役割を一人ひとりがしっかり理解してやり切る」と長田。3季ぶりの頂点への起爆剤となる。(手島 莉子)
◆長田 智希(おさだ・ともき)1999年11月25日、京都・大山崎町生まれ。25歳。小学4年でラグビーを始め、大阪・東海大仰星高3年時に主将で全国優勝。早大でも主将。2022年に埼玉に入団し、23年1月のBR東京戦でデビュー。レギュラーシーズン12試合出場8トライでベスト15と新人賞を獲得。同年日本代表デビューを果たし、W杯出場。通算17キャップ。ポジションはCTB、WTB。179センチ、90キロ。