◆レスリング◇全日本選手権 第3日(21日、東京・代々木第二体育館)
女子59キロ級で18歳の尾西桜(日体大)が初優勝を飾った。決勝は永本聖奈(アイシン)にフォール勝ち。5月の明治杯全日本選抜選手権と2冠を達成し「明治杯の時は周りもノーマークだったと思うけど、今回は正直プレッシャーもあった。周りの方が支えてくださったおかげ。感謝でいっぱい」と歓喜した。
昨年の全日本選手権は55キロ級でエントリーしたが、体重調整に苦しみ棄権した。会場には観戦に訪れたが「正直めちゃくちゃつらかったし、後悔ばかり。来年は絶対この舞台に立つと決めてやってきたので、こういう最高な形になれて本当にうれしい」と悔しさを晴らす優勝にもなった。
今春から日体大に進学した。当初は別の大学に進むつもりだったが「高校3年生の時にふと、強くなりたいと思って、一番強くなれる方法を考えた」。指導者や練習環境が整った日体大では、女子53キロ級でパリ五輪金メダリストの藤波朱理(日体大)の五輪に向けた取り組みを間近で見る機会に恵まれた。「こんなに努力しなきゃダメなんだって。努力の塊を見させてもらって、この人についていけば間違いないと思ったし、今度は自分が取りたいという気持ちにもなった」と、五輪への思いは強まった。
今大会に向けては、藤波が付きっきりでサポートしてくれたという。試合中も観客席からの藤波の声が、はっきりと聞こえていた。「全試合、上から見てくださって本当に力になった」と感謝した。8月に20歳以下の世界選手権を制したホープは五輪に向け、現時点では62キロ級に上げて挑戦する意向。「2028年のロサンゼルス五輪に朱理先輩と一緒に行きたい」と目標を掲げた。