矢野が9月22日の中日戦で驚異的な粘りを見せた。1点を追う6回の第3打席で7球連続、8球連続を含めファウルを打つこと17本。22球目に四球を選んだ。過去に1打席で投手に投げさせた球数は、別表の3人で19球が最多。20球を超えたのは初めてだった。
47年の松井が10球以上を投げさせた打席は、19球の1度だけ。12年の明石は6度、13年の鶴岡も5度だったが、矢野は22球をはじめ12球6度、11球3度、10球7度で計17度。今年の両リーグで10度以上は、他に11度の田宮(日)しかいないだけに、しぶとさが目立つ。
一方で速攻勝負も得意だ。セ・リーグ最多となる6本のバント安打を全て1球目に記録するなど、初球は46打数20安打で.435という高打率。送りバントは安打を含めた成功26度のうち、初球17度に2球目7度と、2球目までに決めたのが24度ある。打っては確実性と粘りを見せ、守っては遊撃手で初のゴールデン・グラブ賞。矢野が攻守に存在感を発揮した。
球団ワースト9月5勝20敗 ▼…広島は8月を終えて首位だったものの、9月を5勝20敗と大失速。月間20敗はセ・タイ記録(7度目)。球団では過去2度あった19敗を更新するワースト敗戦だ。同じ25試合で8月は69失点の防御率2.38→9月は116失点の4.29。
▼…両リーグ最少の52本塁打。カード別では阪神戦が3本で最も少なかった。このカードは5月21日の3回に末包3ランの後、延べ651人が一発なし。セ球団相手に3本以下は、名古屋戦1本と国鉄戦3本の52年以来、72年ぶりチーム3度目。
▼…4番打者は開幕から41試合目で小園が初アーチ。その後も末包3本、坂倉1本で計5本。チームで4番の本塁打が5本以下は、62年に3本だった阪急以来の少なさ。広島では50年2本、51年4本、52年1本に次ぎ、こちらも72年ぶりで4度目。
▼…5月7~18日の8試合にチームは○○○●○●○○の6勝2敗。勝った6試合の勝利打点は全て小園だった。この月だけで計8度のV打。94年7月メディーナ、97年4月ロペス、18年8月丸の各7度を抜き、球団の月間最多記録になる。
坂倉前半.203一転後半.350 ▼…坂倉はオールスター戦前の前半戦63試合に打率.203。それが後半戦は58試合に.350でセ最高打率だった。8月7日の巨人戦から(B…四球)[安]B、[安]B[安]、[安][安][安][安][安]、[安]と4試合にまたがり9打数連続安打、11打席連続出塁。
菊池22年から犠打失敗なし ▼…菊池は送りバントを17度試みて全て成功。8月29日の中日戦でプロ野球5人目の通算350犠打を達成した。通算で送りバントの成功率.923は、川相昌弘の.906を抑え上位の5人中でトップ。22年からは31度連続で失敗なし。
▼…22年から広島に加入した秋山の安打は、41→119→158本。3年間の安打を打球方向別に見ると
内 野=3→13→13
左方向=11→41→52
中 堅=10→26→52
右方向=17→39→41
中堅方向に倍増。
▼…九里は打者として39打席ノーヒット。昨年から43打席連続で安打なし。シーズン初戦から2打席続けて安打の大瀬良は、22年から続いた無安打を35打席でストップ。ただし今年の安打は最初の2本だけ。同じく43打席ノーヒットを継続中。
大瀬良セパ最低得点圏被打率.169 ▼…打つ方はさっぱりの大瀬良だったが、投げては6月7日ロッテ戦のノーヒットノーランを挟み、6試合にまたがって37回1/3を連続無失点。得点圏での被打率.169は、両リーグ規定投球回以上の投手25人中でNO1。
▼…森浦が6月1日ソフトバンク戦の7回、森下も7月2日阪神戦の5回に、イニング3者連続3球奪三振。球団では78年の池谷公二郎に次いで2、3人目になる。シーズンで同一球団の2人がマークしたのは、14年の中日以来2度目。
床田9月以降大失速防6.65 ▼…8月を終えて11勝5敗の防御率1.81だった床田は、9月以降の5登板で0勝4敗の6.65とスタミナ切れ。打たせた併殺打21本は両リーグで最も多かったが、全て8月までに記録。9月以降は1本もなし。
島内5月11ホールド救援だけ11勝 ▼…島内は5月にセ・タイ記録の月間11ホールド(6人、8度目)。昨年の8月に次ぎ自身2度目。1人で2度は浅尾拓也(中)と2人目だ。今年は58試合に全てリリーフで11勝。先発1度もなしで2ケタ勝利は、10年に12勝の浅尾以来。
栗林馬原並ぶ最少178戦100S ▼…栗林は2年ぶり3度目の30セーブ以上。入団4年で3度の30セーブ以上は林昌勇(ヤ)、松井裕樹(楽)、山崎康晃(D)と並ぶ最多回数だ。178試合目でプロ野球36人目の通算100セーブを達成。日本人では馬原孝浩(ソ)と並び最も少ない試合数での到達となった。(阿部 大和)