巨人は24日、楽天を自由契約になった田中将大投手(36)と来季契約に合意したことを正式発表した。楽天、ヤンキース、楽天で日米通算197勝。昨年10月の右肘手術の影響もあり今季1軍では1登板で未勝利だったが、球団は復活できると判断し、阿部監督も獲得を熱望していた。少年野球で同じチームでバッテリーを組んでいた坂本勇人内野手とチームメートになる。
前中日の守護神、ライデル・マルティネス投手、ソフトバンクからFAの甲斐拓也捕手に続き、大物の巨人入りが正式発表となった。楽天のレジェンド、田中将大の入団が決まった。今季15勝の菅野智之投手が海外FAによるメジャー挑戦でオリオールズと正式契約。菅野が抜ける投手陣に経験豊富な右腕が加わる。
現役時代に対戦経験があり、日本代表でバッテリーを組んだこともある阿部監督は田中将について「智之が抜けるとピッチャーのチームリーダーみたいな存在がいなくなる。実績があるから。うちは若い投手が多いし、そういう面でも必要なのかなっていうのは」と期待し、「(好調時に)たぶん戻ると思う」と完全復活に太鼓判を押していた。
巨人と田中将といえば13年の日本シリーズ。シーズン24勝0敗と圧巻の成績で楽天を初優勝に導いた田中将は本拠地での第2戦でルーキーの菅野と投げ合って完投勝利した。再び菅野と投げ合った第6戦は9回160球4失点完投で敗れたが、翌日の第7戦で9回に登板し、連投で抑えを務めて胴上げ投手になった。
ヤンキースに移籍後は名門で6年連続2ケタ勝利を挙げるなどメジャー通算78勝。21年から楽天に復帰していた。来季の巨人は戸郷、山崎伊、グリフィン、井上に次ぐ先発投手の台頭が課題だが、田中将の加入で若手の競争はさらに激化。日米での豊富な経験を後輩に伝える役割も期待される。
同じ1988年生まれの坂本勇人とは小学生時代、兵庫・伊丹の少年野球、昆陽里(こやのさと)タイガースでチームメート。当時は投手坂本、捕手田中将でバッテリーを組んでいた。坂本は光星学院を経て巨人で現在通算2415安打。田中将は駒大苫小牧を経て日米通算197勝と、ともに超一流選手になった。
田中将と坂本は侍ジャパンでチームメートになったことはあるが、小学生時代の盟友が再び巨人でチームメートになり同じユニホームを着る。奇跡的な巡り合わせで運命が交錯し、ドラマチックな展開になった。
来季の巨人は通算200勝まであと3勝の田中将が投げて、坂本が守ってバットで援護する。漫画でも描けないような夢のようなストーリーが現実になる。
◆田中 将大(たなか・まさひろ)1988年11月1日、兵庫県出身。36歳。駒大苫小牧で甲子園に3度出場し、2年夏に優勝、3年夏に準優勝。2006年高校生ドラフト1巡目で楽天入団。13年にはプロ野球新の開幕24連勝(無敗)で球団史上初のリーグ優勝、日本一に貢献した。同年オフにポスティングシステムでヤンキースに移籍し、21年から楽天に復帰。NPBでの主なタイトル・表彰はMVP、沢村賞2度、最多勝2度など。188センチ、97キロ。右投右打。