来年の大相撲初場所(1月12日初日、東京・両国国技館)へ向け、大関・大の里(24)=二所ノ関=が25日、茨城・阿見町にある部屋で稽古を行った。基礎運動を行った後、11月の九州場所で琴桜(27)=佐渡ケ嶽=と豊昇龍(25)=立浪=の大関同士の千秋楽相星決戦を土俵下で見つめた悔しさを激白。新大関場所では9勝に終わった反省から、冬巡業では体調管理を徹底。5月の夏場所と9月の秋場所を制し、連覇中の得意の東京開催の場所で雪辱を期している。
肌寒い稽古場にてっぽうの音が響き渡った。大の里は九州場所の悔しさをこめた。兄弟子の十両・白熊(25)らが相撲を取る中、すり足を丁寧に行い、ぶつかりに胸を出した。「巡業では相撲を取る稽古が中心で、基礎がおろそかだった。部屋では自分のペースで重点的にやりたい」。師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)の教えを守り、まずは基本を徹底した。
大関昇進後の秋巡業(10月)で高熱を出し、茨城の部屋で療養した。九州場所では「いろいろな人に体の張りがなかったと言われた。準備、調整不足がすべて出た」との言葉通り、早々に優勝争いから脱落。琴桜と豊昇龍の大関同士の千秋楽相星決戦は土俵下から見つめた。「3人大関がいるのに、1人だけ仲間外れ。優勝争いに関係ない形であの一番を見て、なんで自分がいないんだろうと…。悔しかったし、もどかしかった」と本音を漏らした。
先場所は研究され、得意の右差し、左おっつけを止められると、攻めきれない場面が目立った。一方で琴桜と豊昇龍は持ち前のうまさに加え、前に出て相手をねじ伏せた。両大関に敗れた大の里は「2人は強かった。間近で見ると、懸ける思いが違った。勉強になった」と自らの糧にしてきた。
冬巡業ではホテルに着くとすぐに手洗いとうがいを徹底。空気清浄機と加湿器を稼働させている。「先場所で準備の大切さに気がついた。インフルエンザもはやっているし、初場所は寒い。体調を崩さないよう気をつけた」。万全の状態を保つため、行動に移した。
初場所は夏、秋場所と連続優勝中の東京開催。小結、関脇、大関と異なる番付での“東京3連覇”となれば初の快挙だ。大の里も「初場所は九州と違ってホーム」と胸を張る。注目を集めるのは綱取りの琴桜と豊昇龍だが「1年の始まりなので大事な場所。しっかり戦う」と大の里。真冬の東京で2人の綱取りに待ったを掛け、自身の最速横綱昇進に王手をかける。(山田 豊)
◆東京場所での連続優勝
年6場所制となった1958年以降、東京で開催された場所で大関以下が3場所連続優勝したのは1994年初場所から同秋場所まで当時大関だった貴ノ花のみ。なお、横綱・千代の富士は1985年初場所から87年初場所まで7場所連続で賜杯を獲得している。