巨人のドラフト1位・石塚裕惺(ゆうせい)内野手(18)=花咲徳栄=が9日、新調した「坂本勇人モデル」のグラブを使用した。8日に入寮した新人11選手はG球場で初練習。次代の正遊撃手を目指す石塚は、レジェンドモデルのグラブで初ノックを受け、「将来は自分のモデルができればいい」と思い描いた。井端(現・侍ジャパン監督)から譲り受けたグラブで腕を磨いた坂本と同じく、名遊撃手の系譜を継ぐ。
プロで最初に選んだ相棒と対話しながら、石塚は軽やかに打球をさばいた。G球場での室内ノック。気温5度の寒さに負けず、球足の速いショートバウンドにも問題なく反応した。「まだ硬くて、一緒に練習していく上で相棒になると思う。大事に使っていきたいです」と、真新しい「坂本モデル」のグラブを試運転した。
入寮を前に、用具提供を受けるミズノ社に注文。坂本が遊撃を守っていた23年まで使用したタイプで、色も同じオレンジを選んだ。幼少期から憧れを抱き「近づき、追い越せるように」と石塚にとって背中を追う存在。一般的な遊撃手用グラブに比べてポケットが深く、打球をしっかりと包み込むキャッチング感覚が特徴のモデルだ。
坂本は井端弘和氏が巨人入りした14年、オレンジ色のグラブを譲り受けた。イニング間も冷凍庫に入れて革の形を整えるほどのこだわりを持つ商売道具。修理を繰り返して19年まで使い続けた。16年に初のゴールデン・グラブ賞を受賞し、「井端グラブ」とともに守備面でも球界を代表する遊撃手に成長した。「将来は自分のモデルができればいいですね」と石塚。井端モデルから自身の型を築いた坂本と同様、名遊撃手の系譜を歩む決意を示した。
入寮翌日のこの日は午前8時にグラウンドでウォーミングアップを開始し、ドラフト2位の浦田とキャッチボール。本格的な打撃練習は行わなかったが、「機械もそろっているし、練習できる環境はすごくいろんなところにある」とプロの第一歩を踏み出し、14日から始まる新人合同自主トレに備えた。
練習後は吉村編成本部長から巨人の歴史などについて訓示を受け、10人のドラフト同期とともに背筋を伸ばした。「伝統ある球団に入ったことは重々承知していましたが、より実感しました。頭の片隅ではなくしっかりと生活、行動をしていくことが必要だなと思いました」。先輩たちへのリスペクトを胸に、歴史に残る遊撃手へと駆け上がっていく。(内田 拓希)
◆石塚 裕惺(いしづか・ゆうせい)2006年4月6日、千葉・八千代市生まれ。18歳。幼稚園年長から勝田ハニーズで野球を始め、佐倉シニアを経て、埼玉・花咲徳栄に進学。1年秋からレギュラーで3年夏の甲子園出場。高校通算26本塁打。9月のU18アジア選手権は日本代表の4番を務め、準優勝。ポジションは遊撃、三塁。182センチ、84キロ。右投右打。背番号23。
〇…巨人の新人選手11人が9日、G球場でトレーナーらとともに自主練習を行った。新人合同自主トレは14日スタートだが、8日に入寮したばかりのルーキーたちは朝8時からアップを開始し、ランニング、キャッチボール、ノックなどを行った。その後はティー打撃やシャドーピッチングなど個別練習に取り組んだ。