今年のドラフト戦線も逸材がそろう。高校生の目玉は健大高崎(群馬)の石垣元気投手(2年)。昨秋の関東大会準々決勝・佐野日大戦(等々力)で2年生史上最速の158キロをマークした右腕だ。160キロ到達も視野に入れ、「高卒ドラ1」を目標に掲げた。
衝撃の158キロ―。プロを目指す高校生投手の中で最も強烈な“肩書”を持つ石垣は、ドラフトイヤーを迎え力強く宣言した。
「『高卒ドラ1』が今年のスローガンです。高校入学の時から、ドラ1で入って(親に)恩返しをするという気持ちでした」
13年に済美の安楽智大(元楽天)がマークした157キロの2年生最速を更新した右腕には、さらなる目標がある。「できれば夏に160キロを出したい」。158キロが計測された場所はスピードガン表示が出やすいとされる神奈川・等々力球場。自身も「153キロくらいかな」という感触だった。だからこそ、納得できる1球での大台到達を本気で狙う。高校生の160キロとなれば、花巻東・大谷翔平(現ドジャース)に並ぶ。大船渡・佐々木朗希(前ロッテ)が持つ最速記録163キロも夢ではない。
昨年の秋季大会後、全体練習後のウェートトレーニングの量を増やすなど、体力強化に取り組んでいる。「ボールに力強さが出るし、下半身がしっかりして制球も安定してくる」。体重は昨夏の75キロから76キロに。出場が確実視されるセンバツまでに「80キロにする」と目標を掲げた。
高校で158キロを出した投手の一人に、星稜の奥川恭伸(現ヤクルト)がいる。「ストレートのスピードもそうですが、変化球の精度も高いところが好きです」と強い憧れを抱く。奥川は19年ドラフトで3球団競合の末、ヤクルトへ入団。「体をしっかりつくって、奥川投手のように、どの球も一級品と言われるように。甲子園では、相手に絶望感を与えるような投球をしたい」。センバツ連覇を果たし、速くて勝てる投手として夢の「ドラ1」に近づくことになる。(浜木 俊介)
◆石垣 元気(いしがき・げんき)2007年8月16日、北海道・登別市生まれ。17歳。登別西小1年で軟式野球を始め、西陵中では洞爺湖シニアに所属。2年の夏から投手。健大高崎では1年春からベンチ入りし、2年春のセンバツ優勝に貢献。昨夏の甲子園から背番号1。178センチ、76キロ。右投両打。