今季からJ2に昇格する大宮は9日、さいたま市内で新体制発表を行った。オーストリアの大手飲料メーカー・レッドブルがクラブを買収し、改革元年のシーズンを迎える同グループのバンダーリッヒ・ダイレクターは「今日が夢の始まりだ」と高らかに宣言した。
鳴り響くクラブミュージックに、パフォーマーによるリフティング技。レッドブルは誰でも飲み放題。何もかもが異質な新体制発表で、J初の外国資本クラブ「RB大宮アルディージャ」が新たな一歩を踏み出した。
オフ期間に原博実社長(66)、長沢徹監督(56)らが渡欧し、同グループの哲学やメソッドを共有した。今後は選手の体調管理やスカウト、経営など多方面において、知見を生かしていくことになり、原氏は「J1昇格を目指して戦う」と意気込んだ。この日発表された新ユニホーム胸部には、おなじみの赤い雄牛2頭が並んだ。
エナジードリンクのレッドブルは現在、世界ナンバーワンのシェア(占有率)を誇り、23年は121億3800万本を販売。潤沢な資金を持つ同グループが09~10年に経営参画したドイツ5部のクラブは、クラブ名をライプチヒに改称し、わずか7年で1部2位に。同じような夢物語を思い描く、バンダーリッヒ氏は「我々はグローバルな情報網をこのクラブと共有する。大宮はそれに値する街だ」と胸を張った。(岡島 智哉)
◆RB大宮アルディージャ 電電関東サッカー部として1969年に創部。NTT関東サッカー部、大宮アルディージャへの改称を経て、2024年10月のレッドブルへの株式譲渡により現クラブ名に。RBはドイツ語で「芝生の球技」を意味する「Rasen Ballsport」。エンブレムは、同社を象徴する赤い雄牛のデザインに刷新された。Jリーグには99年加盟。J1最高成績は16年度の年間5位。J2優勝(15年度)、J3優勝(24年度)の経験はあるが、主要タイトル獲得歴はない。
◆レッドブル社とスポーツ サッカーでは実質的に4クラブ(ドイツ1部ライプチヒ、米MSLニューヨーク・レッドブルズ、オーストリア1部ザルツブルク、ブラジル1部レッドブル・ブラガンチーノ)を運営。世界的名将のクロップ氏がグローバルサッカー部門の責任者を務める。他競技ではF1のレッドブル・レーシングが22、23年に2年連続でコンストラクターズ(チーム)タイトル獲得。スケートボードやスキージャンプ、サーフィンなど個人競技選手のサポートも積極的に行う。