巨人の浅野翔吾外野手(20)が“遊び心”を持って、レギュラーの座を奪い、そして守り抜く。10日、地元・香川で県警本部一日通信指令長と一日琴平警察署長の委嘱式にそれぞれ出席。「遊び心を持って」という阿部慎之助監督(45)からの教えを胸に考え方を柔軟にして成長する考えを明かした。昨季課題となった守備力を向上させ、群雄割拠の争いを制す。
浅野が視線を鋭くした。レギュラー定着に挑む3年目。外野手争いはし烈を極めるが、負けるわけにはいかない。制服姿で揺るがぬ思いを口にした。
「新しく外国人選手も来ましたけど、どうしようどうしようと考えるのではなく、絶対にレギュラーを取るつもりでやっていく」
定位置を奪い、固めるには守備力アップが欠かせない。昨季は8月中旬以降スタメンに定着したが、9月21日の広島戦(マツダ)で後逸する痛恨の失策。安定感を欠く場面があった。「去年はたくさんミスをした。外野手がミスしたら点が入ってしまう。投手が安心して投げられるよう守備も頑張りたい」。オフは守備力向上にも励む。
進化の糸口は“遊び心”にある。「ピンチの場面とかで、冷静さを失うことがある」と技術に加えて精神面の課題を分析。「阿部監督も『遊び心を持って』とおっしゃっている。いい意味で遊び感覚、もう少し考え方を楽にして、プレーできたら」。真面目な背番号51にとって、指揮官からのアドバイスは目からウロコ。“アベの教え”を胸に、柔軟な思考で視野を広げ、練習や試合に臨んでいく。
持ち味の俊足も生かして成長を遂げれば、名手となる可能性も秘める。球団野手のゴールデン・グラブ賞受賞者は、捕手の阿部慎之助(現監督)ら23歳シーズンが最年少。今季21歳シーズンの浅野が勲章を手にすれば、球団史に名を刻むことになる。
バットでのさらなる進化も期す。ノルマを110番の日に初めて110安打に設定。昨季は35安打で、110安打以上をマークした巨人の選手は岡本、吉川、丸の主力3選手のみと、低くないハードルだ。「ホームランバッターではなく首位打者」と方向性を見据え、「(110安打は)最低ラインになる。110安打以上、120、130と打てれば一番いい」。クリアすれば自然とレギュラーへの道が開ける。
委嘱式後は琴平町内で「防犯・交通安全キャンペーン」に参加。小雪が舞う中、約500人に防犯を呼びかけた。「まずはけがなく。去年、1軍では1か月だけだったので、今年は1年間を通して戦力になりたい」と1軍でのシーズン完走を誓った浅野。確固たる居場所を築き、守り抜く。(宮内 孝太)