12日からテニスの4大大会今季開幕戦・全豪オープンが、メルボルンで開幕する。元世界ランキング4位、現74位の錦織圭(35)=ユニクロ=は、2021年以来、4年ぶりの出場となる。前哨戦の香港オープンで、約6年ぶりにツアー決勝に進出。けがへの不安がなくなり、十分にトップで戦えることを証明した。(構成・吉松 忠弘)
世界の錦織が、全豪オープンの舞台に戻ってくる。けがを怖がることもなく、プレーに集中できる全豪も久しぶりだ。錦織も「ようやくスタート地点に戻った。誰とでも、ある程度、戦えるところに戻ってこられた」と、24年末のスポーツ報知の単独インタビューで、喜びを隠せなかった。
左股関節の手術、右足首の良性腫瘍、右肩痛などに悩まされ、22、23年の2年間で、4大会にしか出場できなかった。全豪も22~24年を欠場。21年全豪も、コロナ禍で、渡航便に感染者が同乗していたため、到着後に2週間の完全隔離。十分な状態では戦えず、1回戦で敗退となった。
19年10月に右ひじの手術を行ったため、20年全豪も欠場した。つまり、全豪で普通に試合に挑めるのは、19年にベスト8へ進んで以来となる。今回の全豪は、世界ランキングが落ちているため、ノーシードでの出場。しかし、錦織は、最も危険なノーシード選手の一人と言えるだろう。
全豪は、14年に決勝に進出した全米とともに、錦織の得意とするハードコートだ。4大大会で、自身初めてベスト8に進出したのも12年の全豪だった。それ以降、コロナ禍の21年全豪を除き、出場すれば、すべてベスト16(4回戦)以上の成績を残してきた。
錦織の4大大会で、勝ち星の数では、全豪、全仏、全米の3大会が最多27勝で並ぶ。しかし、最も勝率が高いのは全豪で、27勝10敗、勝率7割3分だ。やや不安が残るのは、時折、40度近くまで上昇する、この時期の南半球の気温と、久々の5セット試合だ。こればかりは経験で慣れていくしかない。
昨年最後のツアー下部大会で優勝し、24年を締めくくった。今年スタートの香港オープンでも、2回戦で世界19位のハチャノフ(28)=ロシア出身=に勝つなど、約6年ぶりにツアー決勝に進出。好調を維持して全豪へ挑む。錦織が4年ぶりの全豪で、復活ののろしを上げる時が来た。
〇…錦織の1回戦は12日、予選勝者で世界106位のチアゴ・モンテイロ(30)=ブラジル=が相手だ。19年ウィンブルドン1回戦で対戦し、錦織がストレート勝ち。22年に自己最高の世界61位を記録した相手だが、この2年は100位前後が定位置だ。もし錦織が勝てば、次戦は第12シードのトミー・ポール(27)との対戦が濃厚。対戦成績は錦織の1勝0敗。
◆錦織 圭(にしこり・けい)1989年12月29日、島根・松江市生まれ。35歳。5歳でテニスを始め、13歳で米国にテニス留学。2008年2月に日本男子史上2人目のツアー優勝を遂げ、14年全米でアジア男子シングルス史上初の4大大会準優勝に輝いた。自己最高の世界ランキング4位はアジア男子最高位。16年リオデジャネイロ五輪男子シングルス銅メダルは、日本テニス界で96年ぶりとなるメダルの快挙。ツアー通算12勝。家族は妻・舞さんと2子。178センチ、74キロ。