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平均年齢24・5歳…中村橋之助ら今後を担う“令和7人の若侍”が新風巻き起こす…【大島幸久の伝統芸能】

スポーツ報知 2025年1月12日 12時0分

◆浅草公会堂「新春浅草歌舞伎」(26日千秋楽)

 浅草の舞台に新風が吹いている。尾上松也を中心とした昨年までの俳優から代替わりして一新された主要俳優7人の座組み。年長の中村橋之助(29)、鶴松(29)と莟玉(28)、鷹之資(25)、玉太郎(24)、市川染五郎(19)、年少が尾上左近(18)。“令和7人の若侍”が集まった。全員が3役を演じている。それぞれ感心した役を並べると―。

 座長格の橋之助は2部『絵本太功記』の武智光秀に成長を見た。竹藪(やぶ)から現れた姿にスケール感が出た。どっしりとして品格もあり。負傷して戻った息子十次郎を励ます父性愛もいい。

 1部『太功記』の光秀は染五郎。祖父・白鸚から教わり、顔を隠した笠を高く上げてギョロリと上手を向いた目付き、面構えの古風さに驚いた。

 鶴松は女形が本領だが1部が光秀妻操、2部の立役・十次郎で「もう目が見えぬ」の間(ま)が見せ場。嫁初菊の左近とのコンビが義太夫の味になった。

 鷹之資は1部が十次郎、2部は佐藤正清。十次郎は花道から戦場へ向かう口跡が良く、正清では本舞台へ駆け込む迫力で持ち味が出た。

 莟玉は1部の『落人』で初役腰元おかる。勘平を慕う一途(いちず)さ、初々しさ、華(はな)もあった。

 玉太郎は祖父・東蔵譲りの幅広い役柄の中で1部の初菊が何とも言えない可憐(かれん)さに満ちていた。

 最後は左近。『春調娘七種』の曽我五郎で体いっぱいに使った見得が行儀良く、角々をきっちり決めた形が見どころだった。

 若武者7人の平均年齢24・5歳。初役、大役に挑んで新たな役柄を体験。相撲の三賞でいえば敢闘賞か。いずれは実力競争のライバル同士。頼もしい若手たちだ。(演劇ジャーナリスト)

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