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育成剛腕・田村朋輝…最速159キロ直球&“ライデルフォーク"で昇格誓う「1軍で少しでも戦える戦力に」

スポーツ報知 2025年1月12日 10時0分

 巨人の若手選手の今を伝える「From G」。25年第1回は、育成3年目を迎えた最速159キロ右腕・田村朋輝投手(20)。昨年参加した台湾でのアジア・ウィンターリーグでは守護神を務め、防御率1・38をマークして優勝に貢献。中日から巨人に加入するライデル・マルティネス投手(28)が飛躍のヒントになったと明かし、支配下昇格への決意を語った。(取材・構成=小島 和之)

 最速159キロを誇る剛腕・田村が、確かな自信をつかんで台湾から帰国した。「NPB白」チームの一員として参加した同リーグでは、先発1試合、救援8試合の計9試合に登板。守護神を任され、防御率1・38、13イニングで17三振を奪い、奪三振率11・77をマークして優勝に貢献した。

 「いいウィンターリーグを過ごせた感じがあります。(抑えとして)試合を締めるという緊張感がある場所で投げさせていただいて、点差次第で投げたり投げなかったりという難しさもありました。1軍に行ったらもっと緊張感があるんだろうな…と感じながら投げていました」

 3軍でプレーした昨季は脱力をテーマにフォームを見直してきたが、台湾では脱力と出力の両立にチャレンジ。シーズン中は149キロ程度だった直球の平均球速は、制球力と球質を保ったまま152~3キロまで上がり、最速は156キロを記録した。

 「昨季中から、3年目に向けて脱力した中で指先の感覚を得ること、スピードを保ちながらどれだけ楽に、いい球質の球が投げられるかを(求めて)やってきました。それが少しずつ分かってきて、ウィンターリーグでは求めていた出力が出せました」

 取り組みが間違いではなかったと実感できた武者修行だったという。

 「体重移動の時に一回全部(の力感)をゼロにして、リリースで叩(たた)きつける感覚をつかめた。今までは力を入れていたけど、今は脱力してから(パワーが)勝手に入ってくれる感じ。この感覚を無意識に、上からボールを叩けるようにしたい」

 高い奪三振率を残した背景には、改善が奏功した球種があった。

 「フォークは自信になった球種です。変化量、コントロールともに、『こうすればこうなるんだ』というのが1か月間続けられました。追い込んだらフォークを投げれば、だいたい振ってくれる感覚がありました」

 ウィニングショットに大きな収穫を得た背景には、実は中日から加入した守護神の存在が背景にあったという。

 「イメージ的には(ライデル)マルティネス投手のように上から投げ込む感覚です。巨人に来ると聞いてから投球の動画を見て、感覚的には僕と少し似ているのかな? と思いました。脱力するとより上から投げることができて、ボールが指にかかりつつ、いい感じで抜けてくれる。ウィンターリーグ中にどんどん良くなった感覚があります」

 同じ剛速球を操る速球派同士。昨季セーブ王に輝いた、支配的な投球を支える技術を直接学ぶことにも意欲を燃やす。

 「背も高く手足も長くて、上から投げ込もうとしているので角度がある。伸びのある直球なので打者は打ちにくいだろうなと。そこから落ちるフォークだったり、スライダー系もある。制球もよく球威で押すだけではなくてかわす投球もできるので、抑えるのが楽だろうなという見え方。上から叩く直球の投げ方や、感覚的な部分を聞いてみたいです」

 将来的には年間通して160キロを投げ続けることが目標。巨人の日本人投手では大勢に次ぐ大台到達へ向けても自信を深めた。

 「台湾では質のいい、空振りが取れる155キロの真っすぐが投げられるようになり、カットボールもフォークも思うように投げられた。この感覚のまま160キロを投げられるようにしていきたいです」

 昨季までは、1軍で戦うための投球スタイルや球質、球種の追求に力を注いできた。大きく羽ばたくための2年間を終えて、3年目となる今季は支配下昇格を明確な目標に見据えてスタートを切る。

 「今年は支配下になって投げないといけない年だと思っています。もっと上の目標で言えば、1軍で少しでも戦える戦力になれるようなレベルでやっていきたいです」

 大器が1軍の舞台でベールを脱ぐ日は、着実に近づいてきている。

 ◆田村 朋輝(たむら・ともき)2004年4月6日、東京・八王子市生まれ。20歳。小学2年時に野球を始め、別所中では町田シニアに所属。山形・酒田南では甲子園出場なし。22年育成ドラフト2位で巨人入団。背番号023。184センチ、81キロ。右投右打。

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